カロリーゼロでも太る「人工甘味料」入り商品 “腸内細菌を破壊”という論文も

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何故太る?

「2009年にテキサス大学の研究者らが発表した論文では、約8年間に及ぶ追跡調査の中で、人工甘味料入りのダイエット・ソーダを毎日飲んだ人の36%にメタボリック症候群の合併のリスクがあり、67%にII型糖尿病のリスクがあることが指摘されています」

 そう話すのは、ハーバード大学などで研究を重ねてきた医師の大西睦子氏だ。

「13年のフランスの研究者らの報告によると、人工甘味料入りの飲料を1週間に500ミリリットル飲んだ人たちは、カロリーのある糖類使用の飲み物を同じ量飲んだ人たちより糖尿病のリスクが15%も高くなった。さらに、飲む量を1・5リットルにして比較すると、人工甘味料入りの飲料を飲んだ人たちの糖尿病リスクは59%も高くなりました」

 カロリーゼロなのに何故太ってしまうのか。

「13年にワシントン大学の研究者らが発表した報告では、食事の際に水ではなく、人工甘味料のスクラロースを摂取した場合、水を飲んだ時よりも血糖値が上がり、インスリンもより多く分泌されるという結果が出た。血糖値が上がって多くのインスリンが出てしまう状態が続くと、分泌器官であるすい臓に負担がかかり、II型糖尿病へと進行する危険があります」(同)

 糖ではない物質を摂取しているにもかかわらず、血糖値が上がるメカニズムはまだ判明していない。ただし、14年には、かの「ネイチャー」誌に画期的な論文が掲載され、関係者の間に衝撃が走ったという。

「イスラエルのワイツマン科学研究所の研究者らによる報告で、その内容は、人工甘味料が腸内細菌に作用してバランスを乱し、さらに血糖値も上昇していることが分かった、というもの。腸内細菌が糖尿病に影響することはすでに実証されており、人工甘味料によってそうした腸内環境が作られていることを確認した、ということです」(同)

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