金正恩が米朝会談で1泊82万円のホテル代を払わない本当の理由
決して支払おうとしない謎
金正恩はホテル代も払えないのか、と驚いた方も多かったのではないか。例えばCNN(日本電子版)は6月3日、「北朝鮮、正恩氏のホテル代の肩代わり要求 米紙報道」の記事を掲載した。
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記事の冒頭部分は、こんな具合だ。
《ワシントン(CNN) 今月12日にシンガポールで開催される米朝首脳会談で、北朝鮮側は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長らのホテル代を他国が負担するよう求めていることが分かった。米紙ワシントン・ポストが伝えた(略)国際社会の厳しい制裁で困窮している北朝鮮は、正恩氏や代表団の宿泊費を他国が支払うよう要求しているという》
その後、会場がセントーサ島に決まる。これを受けてハフポスト日本版は6月6日「米朝会談、会場はシンガポール最高級ホテル。一泊82万円の部屋も」と報じた。
《米ホワイトハウスのサンダース報道官は5日午後(日本時間6日未明)、会談場所はシンガポール本島の南にあるセントーサ島のカペラホテルとなることをツイッターで明らかにした。
カペラホテルは同国屈指の高級ホテル。コロニアル様式で、最高級の部屋の宿泊費は1万シンガポールドル(約82万円)程度とみられる。過去に米国のポップ歌手マドンナさんやレディー・ガガさんが宿泊したことでも知られる。小島にあるため、警備がしやすいとみられる》
当然ながら記事の末尾近くでは、宿泊費の問題について言及する。
《一方、外貨不足に悩む北朝鮮が宿泊費の肩代わりを求めているという報道に関連し、米国務省のナウアート報道官は5日の記者会見で、「米政府は北朝鮮代表団のために宿泊費を支払うつもりはない」と語った》
確かに北朝鮮は、経済制裁で追い詰められているのは事実だ。しかし、ホテル代を払えない「困窮」はあり得ないだろう。北朝鮮は生活保護を受給している“家庭”ではない。仮にも国家だ。核開発を進める予算は持っていたのだ。
とにかく、宿泊費は「びた一文」たりとも払いたくないのだろう。そんな気持ちだけは強烈に伝わってくる。だが、その理由となると皆目、見当がつかない。「ホテル代を負担しろ」と要求した時点で、国際的に見れば金正恩のメンツは丸潰れのはずだ。
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