世界に誇る日本のアニメ、それでも残る“不健全”のイメージ(KAZUYA)

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 海外で日本のイメージを聞くと、近年はアニメや漫画の方が強いように思います。以前インドネシアで学生に話を聞いた際、NARUTO、ONE PIECEなど日本の有名漫画が好きだという声が多数ありました。

 ふらりと書店に行けば一部が漫画コーナーになっていて、翻訳された日本の漫画がズラリと並んでいます。一般社団法人日本動画協会の調査によると、成長を続けている日本のアニメ産業は、市場規模が2016年に初めて2兆円を超えたといいます。このうち7676億円が海外における上映や放送などによる売り上げです。まさに成長産業。

 韓国などはK-POPを世界に売り出すことによって一定の成功をしていますが、日本は漫画アニメで攻めましょう。昨今は違法サイトの横行により、収益を得る機会を失い業界は打撃を受けています。完全に防ぐのは無理にしても対策は必要です。なぜ普通にアニメが放送される日本で違法サイトの視聴がはびこるのか?

 一つの要因として地域格差が挙げられるでしょう。地方はアニメの放送時間がズレていたり、そもそも放送されない地域もあります。ファンとしては1秒でも早く見たいですから、違法サイトへ流れるということでしょう。そのためネットでテレビと同時配信なども増えています。対応が遅すぎる感は否めませんが、収益を得られる形で産業を盛り上げてもらいたいものです。

 それにしても日本国内におけるアニメはまだまだイメージが悪い! 印象を悪くしたいのか犯罪報道において「アニメ好き」「オタク」などがネガティブに扱われるのは疑問です。「いや、それアニメ関係ないじゃん」という場合でもいわれますし、一体なんなのか。

 先日新潟県で小学2年生の女児が殺害された上でJRの線路上に遺棄される痛ましい事件が発生しましたが、逮捕された小林遼容疑者についての報道が相次ぎました。その中で「アニメ好き」がまた出てくるわけです。一例として日本テレビのNEWS ZEROでは、画面右上のテロップで「『アニメ好き』一面も」と犯行に関係あるかのごとく書いています。

 アニメを模倣した犯行であったなら理解できる。もしくは容疑者がアニメを見て幼女の殺害に興味を持ったなどと供述しているならわからないではありません。しかしなんら関連性を見出せないものに対しても出てくるのですから印象操作と見なされる可能性は否定できない。

 ほかの趣味、例えば「容疑者はスポーツ好きの一面も」とか書かないでしょう。でもアニメは書かれてしまう不思議。そもそも現代の若者でアニメ嫌いを探す方が難しいと思いますし、僕も幼少期からアニメに親しんできました。しかし、ちょっと上の世代は漫画やアニメに対する偏見がまだあるのだと思います。先ほどの例でいえばスポーツは健全、アニメは不健全という漠然としたイメージです。そしてネット時代に乗り遅れた上の世代を満足させるためにテレビが「アニメ好き」を取り上げる、と。しかし、悪いのはアニメではなく犯人。それを忘れてはいけない。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者40万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2018年6月7日号掲載

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