資産50億円「紀州のドン・ファン」の怪死 “異例の家宅捜索”が意味するもの

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家宅捜索令状には…

 野崎氏の会社関係者が明かす。

「翌25日の午前11時から午後4時まで、会社の従業員6人全員が警察に呼ばれました。そこで、尿検査をされ、腕などに注射痕がないかも調べられた。また、指紋はもちろん、頬の内側の粘膜からDNA採取もされました。続いての取り調べでは、とりわけSさんのことを重点的に聞かれた。どのような女性なのか、前の職業は何か、社長との出会いはどうだったかなどの質問を浴びせかけられました」

 野崎氏が亡くなったとされる時間帯、自宅にはSさんしかいなかったせいか、警察は彼女に疑いの目を向けているようだったという。

「さらに、その日の夜8時には、田辺署の捜査員が“奥さんはいますか?”と、自宅を訪ねています。でも、ちょうどそのとき、お手伝いさんと一緒に、近くのスーパー銭湯に出掛けていた。夫が亡くなったばかりなのに不謹慎ととられなくもないのですが、留守番の者が対応していると、30分ほど経って、Sさんが帰宅。そのまま、田辺署に連れて行かれました」(同)

 それから、再び4時間にわたって取り調べを受け、従業員と同じように尿検査などを求められた。自宅に戻ってきたころには夜中の12時をまわっていたという。

「しかも、Sさん1人だけではなく、20人以上の捜査員を伴っていました。Sさんを立会人にして、すぐさま自宅の家宅捜索が始められた。しかも、それは、明け方の5時ごろまで続いたのです」(同)

 いくら“変死扱い”でも、夜中に、しかもこれほど大掛かりな家宅捜索を行うのは異例というほかない。

 なぜか。その謎を解くカギは妻や従業員に行われた尿検査と注射痕チェックにある。

「実は、捜査員がSさんに提示した家宅捜索令状には、“覚醒剤取締法違反容疑”と記されていたのです。つまり、司法解剖の結果、野崎さんの遺体からは、覚醒剤の成分が見つかったということです。さらに、26日の昼過ぎには、会社にも家宅捜索が入りました。その容疑も、同じく覚醒剤取締法違反。社長が使っていた白いベンツは、捜査員が念入りに調べていた。でも、覚醒剤の発見には至りませんでした」(同)

 そして、27日になって、司法解剖を終えた野崎氏の遺体が警察から戻されることになったという。

「正午前、Sさんが葬儀屋らと一緒に、田辺署の遺体安置所に引き取りに行きました。夫が急死しても、気丈というか、あまり動揺した様子もないSさんですが、そこではさすがに涙を見せた。警察から受け取った死体検案書では“死因は不詳”となっていました。続いて、通夜の行われた29日にも、自宅に2回目の家宅捜索が入ったのですが、今度は県警捜査1課が加わっていたのです」(同)

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