オーストラリアにおける中国の赤い影(KAZUYA)
ゴールデンウィークの少し前、オーストラリアに行って来ました。
甲子園出場校的にいえば、3カ月ぶり3回目の豪州。今回の目的は中国がどれだけ豪州に浸透しているのかを見に行くというものです。
シドニーの空港からシティに向かう道すがら、車窓を流れる看板は中国語が目立ちます。名門シドニー大学には場違いな孔子像があり、教室の一室を使い孔子学院が開設されています。表向きは中国語や文化の発信。しかしスパイ活動に使われているのではないかということで、アメリカでは閉鎖に追い込まれる例もあります。日本にも10校以上あるのですが、大丈夫かよ……。
大学周辺の道路を車で走れば中国人留学生の姿が目立ち、地域によっては中国人が土地や建物を買い漁っているのです。
最近、中国の富豪が政治家や大学などに多額の資金援助をしている実態を暴いた「サイレント・インベージョン(静かなる侵略)」という本が豪州で密かに注目されています。空港などで本を扱う店舗を見ると、どこでも平積みされていたのが印象的です。
買収された政治家などが、中国寄りの発言をするのは言わずもがな。あれ? 日本にもそんな人がいたような?
著者のクライブ・ハミルトン氏は「中国は民主主義を利用して民主主義を破壊する」と指摘します。現在はあまりのヤバさに気づいてターンブル政権が法整備を進めていますが、これまでオーストラリアでは政治家への外国人からの献金が可能でした。そのため、合法的に資金が流れ、中国寄りになっていたのです。
中国は一党独裁の特殊国家です。留学生や企業なども本国に残した家族・親族への報復を恐れ、中国共産党の代理として行動するともハミルトン氏は指摘しました。
今回、シドニーから飛行機で4時間半のところにある、ダーウィンにも行って来ました。地図上でいうと豪州の真ん中上の方で、戦時中は日本がこの辺りを爆撃しています。戦略的価値の高い場所なのです。到着すると暑い。とにかく暑い。
しかし連日30度を超える暑すぎるダーウィンなのに、海で泳いでいる人が見当たりません。不思議に思っていると、ダーウィンは海にもワニが出ると聞き納得。相当いるらしく毎年何人か食われているそうです。
ここダーウィンにも中国の影を感じる場所があります。それは港です。中国の嵐橋集団という企業が港の一部を99年間賃借しているのです。米軍の駐留拠点にも近く、米軍を監視し放題です。ちなみにこの会社の会長は中国の人民解放軍出身で、何もないと思う方が無理ってものでしょう。
この賃借もビジネスとして合法的に行われました。安全保障上のリスクありまくりなのに、意外にすんなり決まったと聞きます。そして後から問題になったと。
「ビジネスにしても、こんな重要地点を明け渡すなんて……日本も気をつけなければ」と危機感を抱きながら、帰りにカジノに寄って運良く2万円分ほど勝利し、またカジ……実地調査に来なければと誓うのでした。