居酒屋で妹一家を襲った「小田求」容疑者は元オペラ歌手 コンサートを誌上再現
「みなさんこんばんは」
映像はまず、「オー・ソーレ・ミーオ」を歌い上げる小田容疑者から始まる。タキシードを身に着けて歌う姿は送検時よりだいぶ痩せているが、顎に髭を蓄えるスタイルは同じ。まず1曲目を歌い上げた小田容疑者は、聴衆に次のように挨拶する。
「みなさんこんばんは。本日はお忙しい中、私のリサイタルにいらしていただきまして、誠にありがとうございます。私、バリトンオペラ歌手、小田求。そしてピアノは○○です。どうぞよろしくお願いいたします」
「11カ国語の言語というものを一度で歌い明かすこのリサイタルに賛同いただいた方の顔ぶれで、語学に堪能な方が集られたのではないでしょうか(客席から小さな笑いが起こる)。本日は、すべてベルカント唱法ですべての曲を歌い上げます……」
先に取り上げた経歴にも〈ベルカント・オペラ研究所所長〉とあるその唱法が、小田容疑者の歌手としての売りであるらしい。歌唱法の詳細については他に譲るが、そのベルカントで様々な言語で歌うというのがこのコンサートの試みであるらしい。日本語の「千の風になって」や“冬ソナ”の曲として知られる韓国語「最初から今まで」など次々と披露してゆき、同時に曲間にはマイクを手に日本語訳を紹介、コンサートは進行する。特おり舌をペロッと出すのが、小田容疑者の癖のようだ。
基本は淡々とした構成だが、スウェーデン民謡「全部飲まなきゃダメ」の時には、曲の“振付”である腕を上げて乾杯する動作を、観客と一緒に練習する一幕も。
「ぜんぜん合いませんね」
そういって会場を沸かし笑顔を浮かべる音楽家が、この9年後には殺人事件の容疑者に……。
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