消えてなくなれPTA! 母親たちの切実な叫び

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軟禁された

 早希さんは動揺する。

「下の子の保育園、上の子の学童のお迎えに間に合わなかったら、どうするの? PTAの人が、遅れるって事情を伝えてくれるの? 晩御飯はどうするの?」

 夫は深夜まで働く仕事なので、とても迎えは頼めない。近くに祖父母もいない。そんな不安をよそに役員は続けた。

「6年間に最低でも1回、できれば2回、役員をやってもらうことになります。これは皆さんに、平等にお願いしていることです。フルで働いている、小さな子どもがいる、介護中、ひとり親、外国籍で日本語がわからないなど、それぞれ事情はおありでしょうが、一切、考慮いたしません。繰り返しますが、皆さん、平等にやってもらうのが原則です」

 教室中がざわめく。

「一切の事情を考慮しないって、今どき、どんなブラック組織……」

 早希さんは絶句してしまった。他の親も衝撃を受けたようで、全員がうつむき、じっと唇を噛み、目立たないように動かない。

 気まずい空気のまま、沈黙の時間だけが過ぎる。

 最初に手を挙げたのは、赤ちゃんを連れてきていた母親だった。赤ちゃんが泣きはじめ、それを済まないと思ったのか「私やりますから。だから、もう帰っていいですか?」と言ったのだ。

 その後も沈黙は続き、耐えられなくなった早希さんも、つい手を挙げてしまう。彼女のクラスは、他にも手を挙げた人がいたので、全員それで解放されたが、別のクラスは誰も立候補しなかったがために、17時までの予定が19時までずれこんだ。最後はくじびきになった。それで「あたり(?)」を引いた母親は泣き出してしまったという。

「うち、ひとり親なんです。昼間の仕事だけでは苦しいので、夜も子どもにご飯を食べさせた後、仕事に出ています。PTAなんて、だから、絶対に無理なんです。その時間があれば子どもと一緒にいたいです! 仕事をしないと、本当に大変なんです」

 この母親の場合、初対面の親たちに家計の事情まで吐露してしまったわけだが、他にもできない理由を話すことを強要された親はいたという。

 そこまでする権限が、PTAにはあるの?

 そんな組織って、あり得なくない?

 早希さんには疑念しか湧いてこなかった。

 さて、このようにして「任意加入」したあとに、どのようなことが待ち受けているのか。

 それについては次回、ご紹介しよう。

デイリー新潮編集部

2018年5月23日掲載

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