地味にスゴイ! 内川聖一 山あり谷ありの2000本安打

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「彼ほど球界の評価と世間の認知度が乖離している選手はいないのではないか」

 とスポーツ紙デスクが語るのは、5月9日に2000安打を達成したソフトバンク・内川聖一(35)のこと。

 名選手か“迷”選手か──そう思わせる一因は、彼のジェットコースターのようなプロ野球人生に起因しているのかもしれない。

 2000年ドラフトで横浜に1位指名され、高卒でプロ入りした内川。当初は二塁手で、なかなかレギュラーに定着できなかった。

「原因は“イップス”。一塁手の先輩・佐伯の強面にビビッてしまい、一塁への送球ができなくなってしまったのです」

 そんな内川が開眼したのは、08年だった。

「“この年に就任した杉村繁コーチの薫陶を受けた”というのが表向きのストーリーですが、実際のところは、二塁から外し、外野あるいは一塁を守らせるようにしたのが大きかった」

 コンバートによりイップスを回避した内川は、この年、打率3割7分8厘で初の首位打者に輝いた。

 3年連続3割と打ちまくった内川は10年オフにFA宣言してソフトバンクに移籍。11年には史上2人目となるセ・パ両リーグでの首位打者を達成した。

 だが、13年の第3回WBCで、球史に残るチョンボを犯してしまう。準決勝のプエルトリコ戦のことだ。2点を追う8回裏1死一、二塁の好機に、一塁走者の彼はミスを犯してアウトになってしまった。ニュースで何度も流れたので、普段プロ野球を見慣れていない人は、内川といえばあのシーンを思い浮かべるかもしれない。もっとも、

「内川の打撃技術はプロなら誰もが認めるところ。右打者にもかかわらず、通算打率は3割8厘。2000安打を達成した右打者のなかでは長嶋茂雄を凌ぎ、落合博満に次ぐ歴代2位。地味にスゴイんですよ」

 清宮のプロ1号本塁打とカブッてしまい、スポーツ紙一面を飾れず……それも内川らしいというべきか。

週刊新潮 2018年5月24日号掲載

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