スパルタ刑務所で“ゴマスリパシリ”だった平尾脱獄囚 逃亡成功で周囲からヒーロー扱い?

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受刑者のヒーロー?

 一方で、

「受刑者たちは、基本的に看守とか警察が嫌い。ですから、脱獄に成功し、3週間も彼らを振り回した平尾は、受刑者の間ではヒーロー扱いされる可能性もありますね」(別の元受刑者)

 最後に、大井造船作業場に長年勤務し、受刑者たちの指導係を務めてきたご老人が言う。

「指導を終えた時、みんなが私に寄せ書きをくれたんよ。そこには平尾も、“お世話になりました。教わったことは一生の宝物ですから、卒業して社会に出た時にチャンスがあったら使わせてもらいます”なんて書いとったで。こんなん書いて、チャンスがあったら逃げたんじゃろが。ほんと病気や。せっかくこないなところに入れてもろうたんやから、仮釈が早なるように歯食いしばってやらな。辛抱できんかったら社会復帰できへんやんか。しかし、こういう形で返されると、後味が悪いなあ。悪いことして入ってきてんのに、そこでも人とのコミュニケーションがとれへんかったら、社会出ても通じんからね……」

 今後、平尾を待ち受ける、長く苦しい獄中生活。どう見ても、残り数カ月、大井で耐えきった方が楽だったはずだが……。

 それでも彼は、スパルタから脱出した自らの選択を、後悔してはいないのだろうか。

週刊新潮 2018年5月17日号掲載

特集「牢名主が証言! 『タフガイ脱獄囚』が耐えられなかった『スパルタ獄窓記』」より

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