「対馬ツアー」潜入で分かった“客”にならない韓国人 年間36万人が訪れるも…
ホテルの部屋で宴会
韓国食堂の男性従業員に、食事のあと一杯やれる居酒屋がないか聞いてみた。気軽に過ごしたいので韓国人が経営する店がいいのだが、と尋ねると、そういった店は聞いたことがないという。午後9時過ぎ、再びホテルから出てみると、さっきまで韓国人観光客でにぎわっていた街が嘘のように静まり返っていた。
彼らはどこに消えてしまったのだろうか? 韓国人の私には心当たりがあった。「宿」である。韓国人は仲間と旅行へ出かけると、外食よりも宿の部屋に集まって宴会をすることが多い。私と同じツアーの客の中にも、韓国産の焼酎やカップラーメンを箱ごと持ち込んでいる人たちがいた。彼らは、間違いなくホテルのどこかの部屋に集まって宴会を始めているだろう。
「対馬には韓国人観光客がたくさん来るけど彼らはお金を落としていかない。韓国人の食堂で食べて、韓国人の土産物屋で土産物を買って……」
対馬の島民はそんな不満を口にすることがあるという。韓国人観光客を見ていると、たしかにその通りだ。
2日目の朝、ホテルの廊下には焼酎の空箱や、韓国の食品が入っていた空箱が山のように積まれていた。やはり観光客は部屋で宴会をしていたのだ。
観光客で通りが混雑したり、多少汚れることがあっても、街に活気をよび、経済を潤してくれるのであれば、現地の住民は観光客を受け入れるだろう。だが、韓国人の経営する旅行社にたより、韓国人の経営する宿に泊まり、韓国人の経営する土産物屋でしか買い物をしない韓国人観光客は、ただのよそ者でしかない。
2日目はハードスケジュールだ。7時に朝食を終えると、歩いて近くの厳原八幡宮神社や半井桃水(なからいとうすい)の記念館を見学する。半井は地元出身の小説家だ。客たちは神社周辺の吸い殻一つ落ちていない歩道を見ては感心し、日本の公衆マナーは見習うべきだというガイドの説明にも素直に頷く。
途中、韓国人教会に出くわした。日曜日の午前中だというのに讃美歌も聞こえず、人気もないところを見ると、開店休業状態なのか。それでも、外国で韓国人教会があるということは、周辺にコリアタウンが存在することを意味している。統計に記されている対馬の韓国人は60名で、教会を運営するのに十分な人口とはとても思えない。これから対馬に韓国人が増えることを見込んでの「先行投資」だろうか?
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