「浅草寺」の家賃問題決着 仲見世に“竹下通り化”の懸念

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静謐な街に

 なぜ、浅草寺は、強引とも言えるような家賃の大幅アップを押し進めたのか。

「浅草寺の実質トップである守山雄順執事長が陣頭指揮を執り、10年ほど前から周辺の“景観改革”が行われている。仲見世商店街の家賃の問題はその一環なのです」

 と明かすのは、浅草寺関係者。

「守山執事長の口癖は、“浅草を京都のような静謐な街にしたい”。ですから、仲見世通りについても、“あくまでも参道であって、あんなワチャワチャと店舗が連なっているのはおかしい”と周囲に漏らしている。もともと、商店街の家賃は周辺の相場と比べて、かなり割安ではあったのですが、値上げで店舗が出ていくことになっても、これ幸いと考えているのではないでしょうか」

 さらに、仲見世通り以外にも、“景観改革”の触手を伸ばしているという。

「浅草寺の東側を走っている馬道通りの周辺の土地を買い進めています。その地上げによって、馬道通りから、本堂までの眺めが遮られないように建物を建てられなくしたいのです。守山執事長の景観への拘りは尋常ではありません」(同)

 今後、浅草寺周辺が一変していくのは間違いない。

 しかし、前出の店主によれば、

「生き残れるのは浅草の伝統とも何の関係もなく、単に観光客が呼び込めて、収益率を上げられる店舗だけです。そうなれば、竹下通りのようにキャラクターグッズやクレープなどのスイーツを売るようなところばかりになってしまいます」

 歴史を感じさせる商店街ではなくなってしまうようなのだ。

 そこで、当の守山執事長に聞くと、

「特に、お答えすることがございません」

 キレイなだけでは魅力も半減なのだが……。

週刊新潮 2018年5月17日号掲載

ワイド特集「野に薫風 世に暴風」より

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