「無限の住人」で“キムタク”主演男優賞も幻に……日本映画批評家大賞中止のお粗末

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最初から開催する気なし

 ちなみに昨年(17年)5月16日に東京芸術劇場で開催された第26回は、

主演男優賞:小林薫  「続・深夜食堂」
主演女優賞:宮沢りえ 「湯を沸かすほどの熱い愛」
新人男優賞:岩田剛典 「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」
新人女優賞:高畑充希 「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」

作品賞:「湯を沸かすほどの熱い愛」
ダイヤモンド賞:樹木希林(75)

「この26回まで、映画賞の運営事務局である、一般社団法人日本映画批評家大賞機構の代表理事は西田和昭さん(59)でした。そう、業界では“ぼんちゃん”の名で知られる水野さんの愛弟子。彼はお金に弱いところはあるけれど、すごく人はいいし、映画賞にも熱心だった。ところが“映画賞を利用して借金問題を抱えている”と女性誌で記事になったのが今年2月。以来、ボンちゃんは逃げ回る有様で、連絡もつかず、映画賞どころではなくなった。そこに出てきたのが、いまの代表理事である貞照高志という人です。1月17日に都内に選考委員が集められ、ぼんちゃんの後を引き継ぐことになったと告げられました。会社社長ということですが、どういう経緯でぼんちゃんから引き継いだのか、説明がないので分かりません。わたしたち批評家は、受賞作を選び、パンフレットに寸評を書くだけで、運営には全く関わっていませんし、授賞式の寸評1本につき数千円の謝礼が出るだけで、他は手弁当でやってきましたから」

 と振り返るのは、代表選考委員の野島孝一氏である。だが、この初対面で新代表理事は思わぬことを発表したという。

「『今年は授賞式は開催しない』と言うのです。『賞状とトロフィーを受賞者に配って終わりにする』と。もちろん私たちは『それでは困る』と反対しました。26回まで守ってきた権威が保てなくなりますし、授賞式がないなら受賞を拒絶されることだってありますからね。『昨年の東京芸術劇場のような大きなところでなくてもいいから、授賞式は開催したほうがいい』と反対し、結局、授賞式は開催することになり、私たちも作品を選定することになったのですが……」(野島氏)

 授賞式は6月14日午後5時より、会場はなんと原宿のライブハウスに決定した。

「受賞作も決め、事務局から受賞者の所属事務所へオファーして、出席も確認済みでした。そこへ事務局から、『5月10日に選考委員は集まるように』とメールが送られてきたのです。そこで告げられたのが、授賞式の中止でした。今年だけ中止なのか、もう映画賞がなくなるのかも分かりません。その理由はよく分からないんですよ。新事務局が『選考委員と信頼関係を保てないから』と言うばかりで……」(野島氏)

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