「首相官邸」御用達でも忖度ナシ 高級料亭の倒産危機
金の切れ目はなんとやら。首相官邸が御用達でも、さすがに周囲は忖度しないらしい。高級料亭「青柳」を営む小山裕久氏(69)が、仕入れを巡る金銭トラブルで裁判を起こされていたのだ。明らかになったのは、運営会社の倒産危機である。
東京地裁で、小山氏が代表を務める滋味株式会社と関連会社を相手取った裁判が始まったのは、今年1月のこと。訴状によれば、原告は都内にある鮮魚の仲卸問屋で、昨年夏頃から小山氏への売掛金約1500万円が滞っているとして、返済を求めたのだ。
小山氏といえば、昨年春に首相官邸のホームページで〈「日本料理」の心を世界に伝える料理人〉として紹介され、店に総理が足を運んだことが首相動静に掲載されたこともある。内閣官房の委員となり、日本食を世界に普及させる官民一体の活動にも従事。日独友好150周年記念行事などで腕を振るい、仏政府からは授章されるなど、世界でもその腕を高く評価されている。
現在は東京・麻布台にある「青柳」の他、日本橋三越と伊勢丹新宿店など有名百貨店に支店を持つ。もとは徳島にあった料亭を、東京に進出させたのは小山氏の手腕だが、仕入れにまで窮していると聞けば、いったい何が起こっているのか。
「小山さんと取引を始めたのは5年くらい前でしたけど、実は最初の頃から支払いは滞り気味でした」
と重い口を開いたのは、訴えた原告の仲卸社長だ。
「当時は小山さんのバックに投資会社が付いていたけど、そこが手を引いて苦しくなった。月末締めで振り込んで貰う約束が、締日を過ぎるのはあたりまえ。催促しても全額振り込まれることはまずなかったね」
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