元の木阿弥になりそうな「南北融和」ムード 踊らされてはいけない“現実”
南北首脳会談後、高まりつつある融和ムードだが、果たして現実はどうか。
「なんとなく漂う融和ムードというんでしょうか。そんな感じは大いに結構です。しかし朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は5月6日付で、経済制裁を継続している日本を、“1億年たっても、われわれの神聖な地に足を踏み入れることはできない”と批判しています。加えて、板門店宣言でいくら完全な非核化を掲げようとも、日本には1100基以上ものミサイルが向けられたまま。この現実に目を向けなければいけないと思うんですよね」
とは、外信部デスク。結局なにも変わらなかった2000年と07年の南北首脳会談を、早稲田大学の重村智計(としみつ)名誉教授が顧みる。
「過去2回とも首脳会談のあとは大騒ぎでした。しかし、しばらくすると元の木阿弥になる。それが北のやり方なんです。国内情勢がきつくなると南北融和を演出し、制裁を解除させて援助を受けるために動き、達成されると元に戻る。いまは融和ムードですが、これは北による一種の工作。工作機関を抱えているので宣伝には長けているわけです。踊らされてはいけません」
北朝鮮の国内情勢がきつくなったのは、国連安保理が昨秋から年末にかけて石油精製品の輸出を制限し、今年に入って3月までに安保理と日米がさまざまな追加制裁を行ったことによる。
[1/2ページ]