「南北融和」ムードに乗っていいのか――冷麺ブームでも日本に向けられた「ミサイル」1100基
「統一爆弾酒」も登場
では、この融和ムードとはいったいどんなものか。外信部デスクに挙げてもらうと、
「韓国国内では、金正恩朝鮮労働党委員長が文在寅大統領のために“わざわざ平壌から持ってきた”と言ったことで平壌冷麺ブームが起きていますし、乾杯酒として供された韓国の伝統酒『ムンべ酒』の販売量も飛躍的に伸びています。気の早い飲食店では、北朝鮮の川の名前のついた大同江(テドンガン)ビールと韓国の漢拏山(ハルラサン)焼酎を混ぜた『統一爆弾酒』を出すところもあります」
ほかにもまだあって、
「妻の李雪主(リソルジュ)と妹の金与正(キムヨジョン)が綺麗と注目されていますし、会談に黒い人民服で臨んだ金委員長は、平昌五輪のマスコット、黒いツキノワグマの『バンダビ』に似ている、カワイイなんて話題にもなっています」
昨年、核実験や弾道ミサイル発射を繰り返してアメリカのトランプ大統領から“チビのロケットマン”と呼ばれた人物が、である。もっといえば、実兄を毒殺し、高官を高射砲で処刑したとされる独裁者が、黒いクマに重ねられ、カワイイとの見方をされているのだ。
融和ムードにはこんな変化球も。ノーベル賞受賞者を予想するイギリスのブックメーカー「レッドブロックス」で文在寅と金正恩両名の平和賞共同受賞のオッズが1点台で、大本命なのだ。
日本国内に目を転じれば、主要各紙に、〈統一前進、胸いっぱい〉といった文字が躍るし、先述した冷麺についてはテレビが取り上げている。TBSのニュース番組「Nスタ」は、〈韓国で大人気の平壌冷麺が日本でもブームに〉とのコーナーで韓国と日本で食レポをし、平壌冷麺の歴史や作り方まで丁寧な解説つきでじっくり十数分。関西のテレビ局でも、首脳会談を受けて「感動した」「今度こそ平和を」と語る在日韓国人の姿を流していた。
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