「昔モテなかった男」がキャリア官僚になると…(中川淳一郎)
「胸触っていい?」「抱きしめていい?」「キスする?」などと女性記者に連発したことを本誌(「週刊新潮」)にバラされた福田淳一・財務省事務次官(既に辞任)が話題ですね。若い頃にモテなかった人間ほど、エラくなると恋愛(というか単に性欲)においてはバカ丸出しになるものです。福田氏は今回の報道については心当たりがなく、女性が接客している店に行き「言葉遊び」をすることはあるなどとし、訴訟も準備していると表明しました。
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私自身もそうなのですが、現在40歳以上の国立大学出身の男というのは若い頃モテなかった人々がかなりの多数派となります。私は1993年一橋大学入学なのですが、第二外国語で独語を選んだクラスは男が35、女が5でした。仏語を選んだクラスは男32、女8ぐらいでしたが、いずれにしても女子学生の割合は全体で15%ほどでしょう。
当時、「女日照り」という言葉もあったほど、我々の周囲はモテない男だらけでした。一方、女子学生はそれなりに恋人がいる人が多かったように思います。あと、女性比率の高い私立大学の同学年の男は恋人がいる割合がかなり高かった。
私より14歳年上の福田氏は東大法学部卒ですが、在学中の東大では女子学生の数は相当少なかったはず。当時の東大は日本女子大学やお茶の水女子大学などとのインカレはあったでしょうが、それにしても日常的に接する女性の数は少ない。
しかも、国家I種試験だけでなく、司法試験にまで通った福田氏は相当な勉強をしたことが想像されますが、その後、当時の大蔵省に入り今や“最強官庁”のトップに上り詰めたわけです。
こうした経歴を見ると「あぁ、福田さん、昔はモテなかったんだろうな……」と思ってしまいます。何しろ在学中はひたすら勉学に勤しまなくてはいけないわけです。そうした時期を経てキャリア官僚としての人生をスタートさせると、突然チヤホヤされる日々が始まるわけですよ。
私も仕事相手として接した経験がありますが、東大法学部出身のキャリア官僚が地方の事務所の「所長」なんかになるんですよね。すると年上の部下のノンキャリが彼を守(も)り立てようと必死になる。とにかくその所長の出世ばかりを考え、神様のごとく奉る。
そういったチヤホヤ人生を送り、本省に戻って苛烈なる出世争いに勝利してついに事務次官に! 各社が用意した美人の女性記者はなんとしても情報を取りたいと自分に近づいてくる。あっ、深夜なのにこうしてオレのところ来るってのはオレに気があるのかな。今晩はおっぱい触れるかもしれないね。ラブホも行けるかな、ウヒヒ……。
みたいなことを「若い頃モテなかった男」は考えるわけです。若い頃は権力も何もありませんから、その人物の魅力だけでモテるかモテないかが残酷に分かれてしまう。モテる経験をしなかった「元・秀才」の周りに、その権力から得られる何かが必要な人々が群がってくる。女性がいた場合、性欲ムンムンになり、口説きたくなるが、やり方が分からないから「下ネタ言えばこいつ、その気になるんじゃね?」と誤った手法で口説いてしまうのです。若い頃にすべき勉強は国Iとか司法試験だけじゃないんですよ、エリート様。