「南北首脳会談」を異色の在日脱北者が読み解く ウルトラCは“米軍の北朝鮮駐留”?
金正恩の独裁体制が温存
既に北朝鮮は、経済開発区の増加を打ち出している。国内で最大20カ所以上が準備されている。外国資本の投資が不可能な現状では効果が疑問視されているが、国連の経済制裁が解除されれば話は別だ。
「北朝鮮という国家は、文字通りの“金王朝”です。金正恩氏の最大目標は、自分たちファミリーの存続という1点につきます。そのためなら何でもします。70年代や80年代なら、鎖国的な政策が有効だったでしょう。しかし今は、北朝鮮でも相当な人々が携帯電話を所有し、インターネットに接続しています。ならば“経済的開国”に方針を転換したほうが得策だと判断しても、不思議ではありません」
米朝首脳会談で経済制裁の解除を獲得すれば、“経済的果実”を国民に与えることが可能になる。金正恩に対する北朝鮮国民の評価が、上昇する見通しも出てくるわけだ。
「そこまで金正恩が自国民のことを考えているか?」という疑問には、日本ではネガティブな報道の多い“粛清問題”が興味深い視座をもたらす。金柱聖氏は「(金正恩氏は)習近平氏(64)の“反腐敗闘争”を見習っている節もあり、北朝鮮国民が実は喜んでいる可能性も否定できません」と一面的な見方には警鐘を鳴らす。
「北朝鮮で“経済的な自由”が達成されたとしても、金正恩氏は“国民の政治的自由”だけは絶対に認めないはずです。経済と政治のアンバランスな国家運営は、まさに中国というお手本があります。北朝鮮における経済開発区の予定地を見れば、沿岸部が目立ちます。中国の経済発展を模倣しようとしているのではないでしょうか」
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