“自分の声はわからない”“全体を見れば…” セクハラ次官が重ねた苦しいゴマカシ

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 異端審問所に引きずり出されたガリレオのヒロイズムを気取っていたのだろうか。「それでもセクハラはしていない」「自分の声はわからない」――。最強官庁のトップが重ねるお笑いなゴマカシをご紹介する。

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 4月16日に財務省が発表したペーパーには、ざっと以下のように記されていた。

〈賑やかな店のようだが、そんな場所で女性記者と会食をした覚えはない〉

〈女性記者と(週刊新潮に書いてあるような)やりとりをしたことはない〉

〈女性が接客をするお店で言葉遊びを楽しむようなことはある〉

 女性記者とやりとりがあったその夜、福田淳一氏は自ら彼女に電話し、バー「S」へ呼び出している。「賑やかな店」のことを知悉しており、そこで「女性記者」と会ったのは紛れもない事実である。ちなみに、次官の言葉を借りれば、「トヨタ(自動車)の社外取締役、野村證券の社長さんとフレンチを食べて来た」後の懇談だった。

 続いて、16分余に及んだ18日夕刻の辞任会見では、次官はこう述べた。

「自分の声というのは自分の体を通じて聞くので、私はずっと録音された声が自分のものかどうかよくわからない」

「あそこに書かれているような、あんな発言をしたことはありません」

「(会話の相手が誰であるか)わかりません」

「あんなひどい会話をした記憶はありません」

 本誌(「週刊新潮」)がかねて報じてきたように、彼女はバー「S」に先着し、その旨をLINEで次官に伝えている。仮に記憶が定かでないにしても、そのメッセージを確認すれば会話の相手が誰か判然とするはずである。

 事態が急展開したのは19日未明、テレ朝報道局長による会見だった。

〈セクハラ被害者はテレ朝の女性記者と認定した〉

〈声そのものや次官の職務に関する発言内容等から、福田氏の発言を記録したものと判断した〉

 などと発表。しかし、そうやって事実認定されたにもかかわらず、次官はこう強弁を続けている。

〈全体を申し上げれば、そういうもの(セクハラ)に該当しないとわかるはず〉

 あたかも、女性担当記者がセクハラを仕向けたような物言いである。実際そう受け止めているのだろう。この後もセクハラはないのになぜ辞めるのかと問われ、

〈仕事にならなくなってるから〉

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