小錦が語る減量手術「今はラーメン1杯完食も難しい」 糖尿病に効果も

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 減量手術の経験者、元大関小錦(54)が語る。

「僕が胃のバイパス手術をしたのは今から10年前。現役引退後、タレント活動をしている時にこのままでは長生きできないと医者に言われてね。糖尿病になったことはないけれど、家族と相談の上、手術を決めた。新しい身体に慣れるまで1年かかり、その間タレント活動は休まなければならなかったので、僕にとっては重い決断ね。でも今も健康でいる。手術して良かったよ」

 身長186センチ、手術を決めた時の体重は約270キロ。1年間の食事療法とメンタルトレーニングで240キロまで落とした上で手術に臨み、現在の体重は170キロだというから、その「減量効果」は明らかである。

 胃の一部を切除することにより食欲を抑える手術は欧米などで先進的に進められており、日本でも2014年に一部の手術法が保険適用となった。ただし糖尿病や高血圧を患い、肥満度を示すBMIが35以上など、一定の条件を満たさなければ保険適用とならない。

「手術の方法は複数ありますが、どの術式でも、体重を2割から3割ほど落とすことができます。しかし、それ以上に効果が見込めるのが、糖尿病の治療です」

 そう語るのは、「減量手術」の第一人者である「四谷メディカルキューブ」減量・糖尿病外科センター長の笠間和典氏である。

「これまで内科的治療で治せなかった、インシュリン注射が必要な糖尿病の患者さんでも、糖尿病が、外科手術で寛解、つまり薬なしで暮らせるようになったのです。保険適用である、一番単純な手技であるスリーブ状胃切除で5割から7割、先進医療となった、最も効果の高いスリーブバイパス術だと8割から9割の方が寛解し、薬剤や注射なしで合併症の心配なく、普通の生活が送れるようになりました」

 減量手術で糖尿病が寛解したことにより、子供が出来ずに悩んでいた女性が子宝に恵まれたり、人工透析をしている夫に生体腎移植ができるようになったケースもあるという。

「手術をすると、食べたくても食べられないし、そのうち、食べたくなくなってくる。これが逆に危険で、必要な栄養素まで摂れなくなってしまうんだ」

 と、小錦は話す。

「だから、術後は小さくなった胃に入るように2時間おきにリンゴやパイナップルを食べた。あんなに大好きだったハンバーガーはもう受け付けなくなった。あれから10年が経つけど、今はラーメン1杯を完食することも難しい。ちなみに昨日の夜は外でカレー、朝はチャーハン1杯とサラダと目玉焼き。それ以上は食べられない。あと40キロくらい落としたいね」

 無論、外科手術ゆえ体への負担が大きいのは間違いない。あくまでも「最後の頼みの綱」でしかないのだ。

週刊新潮 2018年4月19日号掲載

特集「『BMI25』から始める! 『糖質制限』しない『老けないダイエット術』」より

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