江川卓「空白の一日」秘話 翻弄された「小林繁」と「藤圭子」
天賦の才に恵まれた怪物「江川卓」は、こと運に関しては天から見放されていた。彼の人生が、プロ野球界に大激震が走ったあの「空白の一日」に向け暗転し始めたのは、昭和52年(1977)9月のことだ。有力政治家の懐刀だった仕掛け人がその舞台裏を明かし、今だからこそ語れる秘話を披露してくれた。
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その日、法政大学4年の江川が父、二美夫氏と一緒に訪ねたのは、東京・平河町にある元自民党副総裁・船田中(なか)の個人事務所だった。
船田は作新学院理事長で、何かと江川の相談にのってきたが、この日の用向きは、プロ野球入団のことだった。...