「低脂肪」「低炭水化物」ダイエットより効果アリ! 「地中海式」のポイントは

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 ダイエットには、バランスのとれた食事が何より肝要。しかし、毎日、バランスのとれた食事を続けるのは、意外に難しい。

「私がダイエットに最も適していると考えるのは、地中海型の食生活です。南イタリア、スペイン、ギリシャなどの地中海沿岸に暮らす人々に特徴的な食生活のことです」

 そう語るのは、『寿命の9割は腸で決まる』(幻冬舎新書)の著書もある「松生(まついけ)クリニック」の松生恒夫院長である。

「パンやパスタなどの穀類を原料とした食品を主食として、野菜、豆類、果物を豊富に食べる。肉類を最低限に抑える一方で、魚は頻繁に摂取。そして、オリーブオイルをしっかりと摂るのが大きなポイントです。他には、大腸の働きに良い善玉菌が含まれているナチュラルチーズを摂る、という特徴もあります。全体のカロリーを適正に保った上でこの食生活を実践することを、地中海式ダイエットといいます」

 米ミネソタ大のアンセル・キーズ博士が地中海式ダイエットを提唱する著書を発売、全米でベストセラーになったのは1959年。ところが近年、ある出来事がきっかけとなり、このダイエット法が再び注目されるようになったという。端緒は2008年7月、イスラエルのシャイ博士らが医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に地中海型食生活に関する論文を発表したことだった。

「この研究は平均BMI値31の肥満患者322名に対して行われ、低脂肪ダイエット、地中海式ダイエット、低炭水化物ダイエットの3種類を比較検証したものです」

 と、松生院長が説明する。

「08年の論文発表の時点では、2年間のダイエットの結果の比較となっていました。平均して、低脂肪ダイエットで3・3キロ、地中海式ダイエットで4・6キロ、低炭水化物ダイエットで5・5キロの体重減少となった。重要なのはその4年後に同誌に発表された追跡調査の結果で、平均して、低脂肪ダイエットで0・6キロ、地中海式ダイエットで3・1キロ、低炭水化物ダイエットで1・7キロの体重減少、となったのです」

 すなわち、長い目で見れば地中海式ダイエットが最も効果があったわけである。

 松生院長は、

「現在、私は、地中海型の食事と和食の長所を組み合わせた、地中海式和食を提唱しています。食品、食材の種類と摂取頻度は地中海式と同じで、ポイントとしては、献立自体が和食でも、オリーブオイルを使ってみよう、ということです」

 として、こう語る。

「冷奴にバジルソースとオリーブオイルをかければ、いつもの和食がイタリア風に早変わり。刺身にライムやレモン、塩・こしょうと共にかければ、カルパッチョになります。油分の少ない鶏肉を蒸す時に使えば、おいしさと満足感が一気にアップします。このように少しの工夫で普段の献立が地中海式和食にアレンジできるのです」

週刊新潮 2018年4月19日号掲載

特集「『BMI25』から始める! 『糖質制限』しない『老けないダイエット術』」より

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