テレ東「二軒目どうする?」出演 加藤ジャンプが推薦する「コの字酒場」3店
いつもやけに旨い刺身
さて、ここはコの字酒場であって立ち飲みである。立って飲むのはしんどいとお嘆きの人もいるだろうが、ここは五坪の店である。カウンターと壁の間には人1人立つのがせいぜいであって、おかげでいつも壁によりかかって飲める。立って飲むと、腹圧が減るし胃がまっすぐになるせいか、やたらに飲める。いいことづくめである。
料理は海鮮が得意で、いつもやけに旨い刺身を置いている。このあいだは、軽くシメたしめ鯖のつやつやの身の味の濃さに、思わず拝みそうになった。ウニなんて、これがコの字カウンターではなく寿司屋のヒノキのカウンターだったら20倍の値段ではなかろうかと世知辛い考えを必死に払いのけつつ、舌の上でとろかした。かように旨い魚が、手軽に食べられる。もちろん酒に合わないわけがない。
厨房で魚をさばく店主は暇になるとカウンターで客の間にまざりこむ。狭い店だから顔は丸見え、話だって耳をすませば聞こえてしまう。そこで店主がダミ声で話す話題に思わずのって会話に参加しているうちに、カウンター全体が一つになって盛り上がることもよくある。もちろん、賑やかさを肴にして気楽に孤独を楽しむこともできる。
「アレ」ともったいつけたが、このことである。賑わい方は古い店のようだが、創業は21世紀になってからである。こういう店が街の活力になっていく。
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