「みなさまの声」より「官邸の声」 NHK報道局長の“忖度”放送

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Kアラート

 別の職員は、ニュースが歪められた実例を挙げる。

「森友絡みだと、安倍昭恵夫人の“いい土地なので前に進めてください”との発言が文書から消されたと昼に報じたのに、ニュース7では局長の指示で昭恵発言がばっさり削られた。自殺した近畿財務局職員が残したメモのスクープも、トップニュースに持ってこないよう圧がかかりました」

 官邸への忖度巧者は、5階にある自室から2階のニュースセンターに電話で指示を飛ばしてくるという。

「2階でうろうろしてどこかに電話していることもあります。それを“Kアラート”といって警戒しているんですけど。Kアラートにひっかかった番組の編集責任者は5階に呼ばれて、しょげて戻ってくるんです」

 もう少し事例を挙げると、

「前文科次官の講演会内容を文科省が問い合わせたという特ダネでは、森友問題と並べて報じるなとKアラートが鳴った。でもニュースウオッチ9が続けて流して局長激怒です。あとは、天皇退位の関連や防衛省日報問題のネタも悉(ことごと)く口を挟んできましたね」

 いやはや。ここは忖度する側される側、双方に問うてみるしかあるまい。まずは今井秘書官を訪ねると、

「あのさ、取材に応える義務なんかないんだからさ」

 と、にべもない。ならばと小池局長に訊けば、頑なに沈黙。やはり官邸の声しか耳に入らないようなのだ。

週刊新潮 2018年4月19日号掲載

ワイド特集「春の嵐吹きやまず」より

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