宮崎駿の盟友「高畑勲監督」の徹底した取材と観察眼(墓碑銘)

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 数々の名作を遺し、高畑勲さんが逝去した。週刊新潮のコラム「墓碑銘」から、その生涯を振り返る。

 1988年に公開された「火垂るの墓」は、アニメーション監督、高畑勲さんの代表作のひとつである。

 原作は野坂昭如さんの小説(新潮文庫所収)。神戸大空襲で家族を失った14歳の兄と4歳の妹は、遠縁のもとに身を寄せるが居心地が悪い。家を出たものの妹は栄養失調で亡くなり、兄もほどなく孤児として斃(たお)れた。

 高畑さん自身、9歳の時に空襲を経験している。...

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