地獄の日々を送る「柳瀬唯夫・元首相秘書官」 全ての鍵を握るのは今治市

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線の弱い秀才の「心理的ストレス」

 そうした“能吏”が直面している状況を、政治部記者が解説する。

「森友学園の公文書改ざん問題は刑事罰を科すことができるかという、法曹家でも意見が分かれる難しい問題があります。対して、こちらはシンプルです。今治市民の情報公開請求に対して黒塗りで開示され、現在は非開示の『4月2日に市職員が首相官邸を訪問した出張記録』の原本が示されれば、柳瀬審議官が面会の場所にいたかいなかったか、明確に示されます。そのことは市民団体も分かっていますから、異議申し立てなど、今後も粘り強く開示を求めていくそうです」

 誰も表立っては何も言わないが、国会議員も大手マスコミも、内心では「出張記録には柳瀬氏の名前が書いてあるんだろう」と見ているのだという。つまり柳瀬氏や安倍政権の命運を今治市が握った格好なのだ。前出のOBが言う。

「あの頃の柳瀬くんは、国会議員や他の官僚と丁々発止のやり取りをするなんて想像もできませんでした。腹芸どころか、嘘もつけなさそうでしたね。そんな柳瀬くんの本質は、今でも変わっていないと思います。図太いタイプなら、地獄の日々でも何とかやり過ごすのかもしれません。しかし彼のように線が細いと、心理的なストレスは相当なものでしょう。心配ですね」

柳瀬ダイナマイトは爆発するのか?

 16日には菅良二・今治市長(74)がマスコミの取材に対し、市職員や県職員が首相官邸を訪問した際の記録については「私どもはあくまでも非公開」と断言。聞き取り調査を行ったことは明かしたものの、内容については「一緒に取り組んできた仲間に迷惑がかかる」と公表を拒否した。

 だが、市長の説明を「正しい、その通り!」と支持する者は少数派だろう。どう考えても公開するのが筋だ。有権者の不信は根強い。情報を公開し、真実を明らかにする責務が行政機関には存在する。

 それができないと言い張るのは、「別の理由があるのだろう」と勘繰られても仕方がない。今治市は岡山理科大学獣医学部を必要とする立場だし、何よりも自分たちの行った情報公開で内閣が瓦解すれば、さぞかし目覚めは悪いに違いない。

 現状を戯画化すれば、「今治市」と書かれた大量のダイナマイトに火がつけられており、その上に柳瀬氏と安倍首相が抱きあいながら凝視しているという図になるだろう。

 現時点で、導火線は燃え続けている。林芳正文部科学相は20日、愛媛県職員らが154月2日に柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会する予定を記したメールが見つかったことを明らかにした。

 更に内閣府の梶山弘志地方創生相も同日、担当職員が「記憶はないが、自分が作成・送信したと思われる」と話したことを明らかにした。柳瀬唯夫氏の「お会いしたことはない」という発言の信憑性は、どんどん失われてきている。

 果たしてダイナマイトは爆発するのか、直前で導火線の火は消されるのか――。もちろん内閣支持率などで表明される有権者の意思も、今後の真相究明に大きな影響を与えるだろう。

週刊新潮WEB取材班

2018年4月20日掲載

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