“松山刑務所”から脱獄、平尾龍磨受刑囚に科せられる「逃走罪」の量刑は意外と軽い!?

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塀のない刑務所から脱走すれば刑は軽い!?

《潜伏先とみられる広島県尾道市の向島のドラッグストアで容疑者に似た男が牛乳や菓子などを買う様子が目撃されていたことが16日、捜査関係者への取材で分かった》

《付近ではこれまでに7件の窃盗事件が発生。島内で車上荒らしに遭い、10日に発見された車から平尾容疑者の指紋と共に牛乳パックや菓子の袋が見つかり、両県警は付着物から容疑者と一致するDNA型を検出》

 愛媛と広島の両県警は「16日も650人体制」(共同通信)の陣容で捜索を続けているが、この記事の執筆時では、逃亡犯の逮捕には至っていないようだ。

 この平尾受刑囚だが「逃走の罪」を犯していることは間違いない。刑法を見てみよう。

《(逃走)
第九十七条 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。
(加重逃走)
第九十八条 前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する》

 難しい印象を持たれた方もおられるだろう。そこで元東京地検検事の田中喜代重弁護士(65)に解説を依頼した。

「容疑者や受刑者が何も壊さずに逃げると『単純逃走罪』となります。塀を壊したり、鉄格子を破ったり、穴を掘ったり、手錠を壊したり、腰縄を切ったり……と、逃げるために何かを壊すなどの行為を働けば『加重逃走罪』です。松山刑務所大井造船作業場は開放施設に分類されます。マスコミの表現を使えば『塀のない刑務所』です。あくまでも報道を見る限りですが、平尾受刑囚が何かを壊した形跡はないようなので、単純逃走罪が適用されるのではないでしょうか」

 上にあるように「単純逃走罪」は「一年以下の懲役」で、「加重逃走罪」は「三月以上五年以下の懲役」だ。つまり、塀のない刑務所から脱走したより、塀のある刑務所から脱走したほうが罪は重いことになる。

 だが、ひょっとすると、これは我々の常識から考えると逆ではないだろうか。

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