安倍首相は何を思った? 映画「チャーチル」鑑賞

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 誰しも映画の主人公に自身を投影した経験が一度や二度はあるはずだ。

 今月8日、TOHOシネマズ日比谷を訪れ、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」を鑑賞した安倍首相だって例外ではなかろう。

 この作品は特殊メイクを担当した辻一弘氏が日本人初のアカデミー「メーキャップ&ヘアスタイリング賞」を受賞して話題になった。しかし、公文書改ざん問題で大わらわの安倍サンが、多忙の合間を縫ってまで鑑賞したのは、そんな理由からではあるまい。

 総理番記者にその心中を“忖度”してもらうと、

「実は、総理が尊敬してやまない政治家の一人がチャーチルなのです。愛読書の一つに彼の伝記『Never Despair』を挙げているくらいですから」

 何とも知的な愛読書であるが、実はこの本、安倍サンが第1次政権を失意のうちに放りだした2007年の11月に、米国防総省の日本部長などを務めた人物から贈られたものだという。

「伝記のタイトルを日本語に直せば“決して諦めるな”。チャーチルは戦後、選挙に敗れて首相の座を失うも、再び政権に返り咲くのですが、総理は苦境に立たされるたび、この言葉を思い出すのだそうです」(同)

 もっとも、この伝記に邦訳はなく、英語の原書をどのようにして読んだのかは気になるところだが、

「この映画のクライマックスはダンケルクの戦いでのチャーチルの歴史的な決断のシーン。総理は鑑賞中も、チャーチルの姿に自身を重ねあわせ“決して諦めるな”という言葉を反芻していたのではないでしょうか」(同)

 現実は総裁の3選も危ういのだが……。

週刊新潮 2018年4月19日号掲載

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