取り違え「順天堂医院」 音声で明らかにする“被害者へのウソ”

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 新生児の取り違えという過誤を犯しながら、金銭を支払って隠ぺいし、“本当の親に会いたい”という被害者の願いを無視……。「週刊新潮」がこれまで報じてきた順天堂医院の所業であるが、ここで新たな「ウソ」も明らかになった。

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 血液型が適合しないことから「不倫の子」と疑われ、両親は離婚。継父に虐げられ、高校にも行かせてもらえず、母も心を病んだ。そんな人生を歩んできた小林義之さん(51)=仮名=に対し、そもそも順天堂は頭すら下げていないという。

 4月13日の記者会見で加藤勝信厚生労働相は本事件に触れ、“4月11日に順天堂医院から関東信越厚生局を通じて報告があった”と語った。これに憤慨したのは小林さん本人である。

「すると、話し合いの際に私が順天堂側から聞かされてきた話は、真っ赤なウソだったのですね。私は順天堂から、厚労省にちゃんと報告するのだから、取り違えを公表しなくても隠ぺいにはならないと説得されたのです」

 小林さんと順天堂との間では数回にわたって“話し合い”の場が持たれているが、小林さんは病院側との交渉を録音している。それを聞くと、たしかに2016年7月4日に順天堂医院内で行われた話し合いで、順天堂の医師がこう発言している。

〈厚労省。これははじめて出た話なんです。厚労省にやはり医療事故として届け出るべきであろうと〉

〈ちゃんと報告をしておくことによって『隠れて私たちがやっているわけではないんだ』ということをですね、『公にはしないけれども、隠れてやっているわけじゃないんだ』ということを、私たちも立場をそうとりたいなということで、話が出ました〉

 整理をすると、事実の“隠ぺい”に反対する小林さんに“厚労省に報告するので隠ぺいではない”と説明したのが16年。本誌が最初に事件を報じたのは、18年4月5日発売号。そして実際に厚労省に報告が行われたのは、18年4月11日――。小林さんにウソをつき続けていた挙句、報道されて慌てて報告した、という構図が透けて見える。

“本当の親に会いたい”と小林さんが願うように、“本当の子に会いたい”と訴えるのは、小林さんの母親の恭子さん(76)=仮名=だ。恭子さんもまた順天堂の被害者であり、

「(取り違えを疑い)順天堂に3回ほど行ったんです。でも、病院側はこんなことで来るなという態度で、それこそ“シッシッ”っていう感じで、“浮気の子供じゃないか”とか、それはもうひどいことを言われました」(恭子さん)

 4月19日発売の「週刊新潮」では、恭子さんの証言と併せ、順天堂の「ウソ」を詳しく報じる。また「デイリー新潮」では、恭子さんのインタビューと上記順天堂との「話し合い」音声を公開中だ。

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