きたる大地震に備え…身元確認に「足紋」導入を 元捜査1課長の訴え

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 縁起でもない話だが、想像してみてほしい。今この瞬間にアナタが倒れた時、その身元を証明できる手段はどれだけあるだろうか。津波や火事で、免許証や持ち物なども消失する事態になったら……。そんな時、“足の裏”が役に立つかもしれないというのだ。

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 先月6日に警察庁が発表したデータによると、東日本大震災の発生から7年が経つ現在も、62人の遺体の身元が不明であるという(2月末時点)。東日本での経験から、「足紋」の普及活動を行っているのが、元警視庁捜査1課長の光眞(みつざね)章氏だ。足紋とは、ずばり指紋の“足版”。足裏の指の付け根部分、「基底部」と呼ばれる部分には、個人個人異なる紋様があるというのだ。

「震災では、身元確認の難しさから、ご遺体を取り違えてご遺族にお渡しする事例が起きました。通常、身元の確認には、身長体重などの特徴のほか、持ち物などの情報を聞き取ります。ご遺体の損傷が激しいときには指紋や歯形やDNAを元に確認するわけですが、歯形は歯医者のカルテが必要ですし、DNAも対照される親族や、採取できる自己の歯ブラシや櫛などが必要です。ところが大規模災害では、これらが失われてしまう可能性が大きい。そして指紋は、犯罪歴がない限りはどこにも登録していませんよね」(光眞氏)

 仮に首都直下型大地震が発生し、それが日中ともなれば、自宅から遠く離れた“縁もゆかりもない地”で被災されることもあり、身元特定の難航が予想される。そんな状況を鑑み、鑑識課長の経歴もある光眞氏が着目したのが、「足紋」だった。

「鑑識業務に携わっていなければ、警察関係者でさえ足紋を知らない人間はいます。指紋の場合、指1本に約100の特徴点があり、遺体の指を回転させながら10本分を採取することになります。一方、足紋ならば1000の特徴点が集中する基底部を採取するだけですので、作業がスムーズになります。また、損傷によって採取が難しくなる指と異なり、足裏はそもそも皮膚が固い上、通常は靴下や靴を履いていて保護されていますから、その可能性も低い。そして何より、指紋の採取となると皆さん抵抗があるでしょう」

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