「たけしの知らない間に筆頭株主に」――軍団の告発に森社長が反論

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夫人も知っていた「筆頭株主」の件

〈1〉の話は、まず26年も前のことです。1992年2月、当時、オフィス北野の筆頭株主だった大手テレビ番組制作会社「東通」が会社更生法の適用を申請することになり、それに我々を巻き込みたくないということで、東通が持っていたオフィス北野の株55%を、大至急、オフィス北野自身で買い取ってほしいとの話が持ち込まれました。

 しかし、当時は商法上、会社の自己株式取得は認められておらず、私個人が株を買い戻すしか道はありませんでした。とはいえ、株の買い取り価格である5000万円もの大金を私個人にはすぐに用意できません。しかも、東通から話が持ち込まれたのは日曜日で、銀行から借りることもできない。仕方なく、オフィス北野の金庫にあったお金を私が借り、株を買い戻す形を取らざるを得ませんでした。結果、私の株式保有比率は65%になったわけですが、時間がないなかで取れる手段は限られ、現に、私がオフィス北野に借金することで株を買い戻してから、1週間もしないうちに東通は事実上倒産してしまいます。緊急事態だったのです。

 オフィス北野の社長を東通の方が務めていたので、株の買い戻しに伴い、当時、副社長だった私が社長を引き継ぐことになりました。それを報告すると、たけしさんは「森さんが社長で大丈夫なの」と言っていたのを覚えています。つまり、たけしさんは東通の倒産に伴うオフィス北野の体制変化を承知していたのです。この時に、株のことも報告していたと記憶していますし、私の社長就任や会社から私への貸し付けを承認した92年2月24日付の取締役会議事録も残っています。

 ところが4年ほど前、突如たけしさんが、「俺が筆頭株主じゃないんだって?」と訊(き)いてきました。その頃、彼の奥さま、幹子夫人とも話す機会があったのですが、「ああ、その(株の)話は私知ってる。森さんから直接聞いたもの。私が知ってるくらいだから、主人が知らないはずないでしょ」と仰っていた。やはり26年前、経緯はちゃんと説明していたのです。

(2)へつづく

週刊新潮 2018年4月12日号掲載

特集「『ビートたけし』独立問題の裏の裏 『裏切り者』にされた『森社長』の悲痛な反論5時間」より

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