新生児取り違え事件をカネで隠蔽した順天堂 被害男性は「これ以上喋れないんです…」

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順天堂の回答は…

 取り違えの被害者に金銭を支払って口封じし、2人の“人生の取り違え”という重大な医療過誤をなかったことにする。病院たるものが、被害者のトラウマをさらに深くえぐる。

 順天堂の対応は、そんなふうに要約できると思われるが、さて、“加害者”はどう答えるだろうか。

 電話で取材の申し込みをすると、ひとまず管理課の課長が応対した。だが、50年前の新生児取り違え事件について記者が把握している旨を伝えると、

「ちょっとわからないんですけど。把握してない。把握、把握はしてないです」

 と慌てて否定する。だが、これだけの事件を医院内で情報共有していないのか。

「そうですね。はい」

 初耳だと言うのか。

「はい、はい、はい」

 では、管理課以外の部署が把握しているのか。

「それはわからないですが、そういった案件は管理課の扱いになると思います」

 そうであるなら、被害者に金銭を渡して口封じをしたという案件を知らないわけがないはずだが、

「あの、それはどっからの話ですか。取り違えがあったとか金銭交渉とか、どこから聞いたんですか。だれも知らないかどうかはちょっとわかりませんが、私どもは承知していないと」

 次第に禅問答のようになって埒が明かないので、質問を送ったうえで、理事長をはじめ院長、学長、医学部長など大学および医院の幹部らの家を軒並み訪ねた。ところが、深夜になるまでだれもが不在だった。学内で緊急会議でも開いていたのだろうか。

 その翌日、管理課長に質問への回答を促すと、

「いま、もう私の手を離れてしまっているので。上に回しているので」

 そんな返答から間もなく、当の米澤和彦管理課長名で、

「個別案件についてのご照会には応じておりませんので、ご理解の程よろしくお願い申し上げます」

 と書かれたファックスが届いた。取り違えを否定こそしないが、さりとてなにも答えていない。米澤課長に回答の趣旨を聞くと、

「病院としてどうお答えしたらいいかと検討した結果、このように答えろという指示があって、私はこの回答をお出ししたわけです」

 否定こそできないが隠蔽は続ける――。組織としてそのように意思決定したと判断できよう。

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