進学戦線に異状あり… 3年後に東大合格者が「増える高校」「減る高校」
3年後に東大合格者が「増える高校」「減る高校」(下)
東京大学合格者のデータを読み解くと、“進学戦線に異状あり!”の現状が見えてくる。合格者が多い上位20校を紹介した掲載の表をみると、元気がないのが駒場東邦だ。2015年に82人が東大に合格して以降、年々合格者が減って今年は47人。ベスト10から陥落した。中学入試の志願者も、13年には701人だったのが今年は513人。難関中への圧倒的な合格実績で知られる進学塾サピックスの偏差値も60→58(※以下、数値は80%合格可能性を示す偏差値の、12年入試用と今春の入試用のもの。12年用は今春の現役大学受験生が中学受験した際のものだ)。
以前はダブルスコアで差をつけていた浅野に猛追され、現役にかぎれば合格者数も合格率も負けている。
「駒東の“滑り止め”にされることも多い浅野は、新高3が学校始まって以来の優秀さ。来年、逆転されると、さらに人気が低下しかねない」(進学塾関係者)
駒東の志願者減の理由だが、サピックス小学部広報企画部の広野雅明氏は、
「主に早稲田中学に流れているのだと思う。ここ数年、東大合格者数も非常に伸びている早稲田の人気が高いのは事実です」
と語る。早稲田の東大合格者数は38人。卒業生の半数は推薦で早大に入学し、残り150人が一般受験をし、この数字を残しているのだ。中学受験は2月1日、3日の2回行われ、駒東と同じ1日のサピックス偏差値は57→57だが、今年の入学者の偏差値は駒東を抜いたという情報もある。
「この数年、早稲田だけでなく大学附属校の人気が非常に高い。理由は大学入試改革の影響を受けたくないという層の存在が一つ。もう一つは、私立大学の合格者が昨今非常に絞られ、以前なら中堅の中高一貫校で上位にいれば早慶に受かり、真ん中ならGMARCHに受かったのが、以前は早慶に決まった子がGMARCHに、GMARCHに届いていた子が日東駒専に落ち着くという嘆きをよく耳にします。そういう状況では、中学受験の段階で早稲田に入る権利が得られるのはありがたいわけです」(同)
なかで早稲田中は、
「昔は“推薦枠が半分しかない”と受け止められたのが、最近は上位の子は東大に行くし、慶應に行く子もいる。早稲田への推薦枠は半分だから学校も勉強をさせ、その結果、他大学に合格する子も増え、東大合格者も増えた。それが人気の理由だと思います」
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