23年を経て「尊師」から「麻原」へ “側近”たちの罪と罰

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遺骨はガンジス川へ

 実際の公判では堂々と麻原への帰依を語っている。

 曰く、

「麻原尊師は閻魔大王の化身、私たちはその使者」

「(事件の被害者は)最大多数の幸福のためのやむをえぬ犠牲」

「もう少し冷静に、そして寛容になって下さるよう日本国民に願います」

「この『死』の知恵を得たときに初めて、死刑は廃止されるに至るでしょう。この『死』の知恵を得ることを、特に被害者の方々に望みます」

 2010年、死刑が確定。

 月日が流れた現在でも、その心境は変らないようで、前出の妻が言う。

「拘置所では、ヨガや瞑想など、一日中修行に明け暮れているそうです。手紙も1週間に1度は来る。健康オタクなので、私の健康法について、いろいろアドバイスをしたり、朝、昼、晩それぞれ何を食べたか、メニュー表を送ってきたりもします。死刑についても、恐れてはいない様子。澄んだ気持ちでいるようです。死んだら遺骨は、ガンジス川に流してくれ、と言われています」

 現実と妄想の判別が付かない教祖と、それに付き従い、数多の人を殺めた2人の高弟。奇しくも今回の移送で、場所を分かつことになったが、さて、近づく13階段を、彼らはどのような心境で上ることになるのだろうか。それぞれの「罪と罰」を背負ったまま――。

(4)へつづく

週刊新潮 2018年3月29日号掲載

短期集中連載「13階段に足をかけた『オウム死刑囚』13人の罪と罰」より

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