なぜ「森友改ざん」は起きたのか “忖度”腐敗の温床「内閣人事局」

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〈すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない〉――こう書かれた憲法第15条を、改憲を目指す安倍政権も否定はしないだろう。だが、全ての道は「内閣人事局」に通ず。そう信じ込む霞が関の住人は“忖度”ばかり。その腐敗の温床たる所以(ゆえん)とは。

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 なぜ「森友改ざん」は起きたのか。背景を報じる各紙が諸悪の根源と名指しするのが「内閣人事局」だ。

 この機関は安倍政権が2014年に設置して、各省庁の審議官クラス以上約600人の幹部人事を差配してきた。省益に拘る官僚機構を改革し政治家がリーダーシップを握る。そんな政治主導を実現する起爆剤と持て囃されたが、いざ官邸が人事権を握れば、人事が何より重要な官僚たちの最優先事項は政権への“忖度”となった。

「象徴的なのは、従来の慣例を打ち壊し、財務省で3代続けて同期入省者が次官となったことでしょう」

 とは政治部記者だ。

「15年に次官となった田中一穂氏のことですが、彼は目立った実績はなくても、第1次安倍政権で首相秘書官を務めていた。官邸に覚えめでたければ重用される、という前例が生まれたのです」

 そんな天変地異をこの目で見れば、あの佐川氏も官邸の力を思い知ったに違いない。実際、同じ省内では、菅官房長官に近いとされる金融庁の森信親長官や浅川雅嗣財務官も、異例の在任期間3年を突破している。

 実質、「人事局」を掌握する菅官房長官の“側近人事”がより顕著なのが農水省で、

「奥原正明次官は、菅さんと農業政策で主張が一致したことで抜擢されましたが、同時に将来の次官候補だった水産庁と林野庁の長官、消費・安全局長までもが一気に退職に追い込まれてしまったのです」(同)

 さらには、あの最高裁にも“お友達人事”は及ぶと司法担当記者が話を継ぐ。

「最高裁判事には日弁連が提出した候補者から選ぶという枠がありましたが、安倍内閣は前例を無視して別の人物を起用。安保法制に反対する日弁連への報復人事だと見られていますが、他の判事にも、総理の親友が経営する加計学園の監事経験者を任命しています」

「最強官庁」から「憲法の番人」まで、政権の絶大な力を見せつけられた官僚たちが誰に奉仕するのか。答えはすでに明らかだろう。

週刊新潮 2018年3月29日号掲載

特集「地獄の門が開いた 『森友改ざん』の『アベゲート』」より

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