ディーン・フジオカ「モンテ・クリスト伯」は怖いモノ見たさ度1位! 春ドラマ9作を解説
「PTAグランパ2!」(NHK-BSプレミアム・日曜夜10時~)
そういう高齢層向けドラマの双璧になりそうな連ドラが今期はもう1本あって、それがコレ。松平健(64)が、かわいい孫娘のため、祖父という立場なのに小学校のPTA副会長になって……というコメディーの第2弾です。去年の第1作も、うるさいことを言う気にならずに楽しめるドラマでした。
なお、今回は松平とともにPTAの役員をやる安達祐実(36)がヒロインになりますが、安達は同じ4月スタートの「捜査一科長season3」(テレ朝系・木曜8時~)でもレギュラーなので、今期の売れっ子ということになります。あの名子役が30代半ばの女優として連ドラ2本に同時主演。安達祐実という山が隆起したのか、ドラマという地盤が沈下したのか、ワタシにはよくわかりませんが、ちょっと無視できない現象ではあります。
「鳴門秘帖」(NHK- BSプレミアム・金曜夜8時~)
吉川英治(1892~1962)が原作の時代小説「鳴門秘帖」をNHKが40年ぶりにドラマ化するというので、ちょっと楽しみにしてます。ナレーターが気鋭の講談師、神田松之丞(34)なのもイイ。ただ、40年前に田村正和(74)が演じた主人公の隠密・法月弦之丞(のりづきげんのじょう)役を引き継ぐのは、堀北真希(29)のダンナの山本耕史(41)。彼がNHK方面に重用されすぎる理由が知りたくて落ち着かなくなるくらい、暇でもなく酔狂でもないアナタにも、お勧めします。
「あなたには帰る家がある」(TBS系・金曜夜10時~)
中谷美紀(42)×玉木宏(38)とユースケ・サンタマリア(47)×木村多江(46)という夫婦2組が、組んず解れつの不倫モノ……だというんですが、山本文緒(55)の原作小説って、そんな話でしたっけ?
小説の単行本が世に出たのは94年だから、もう二昔は前。今回のドラマ化では、制作サイドが今どきの夫婦について、新たに女性100人以上に調査をかけたというので、原作とはいろいろ違う部分があるのかもしれません。
この小説、15年前にも単発ドラマ化(BSフジ)されていて、そのときは主演の斉藤由貴(51)が悪くなかった記憶があるけれど、同じ役を今度は中谷。だいぶ雰囲気が違うように思えてならず、やっぱり今期の連ドラ版は、よくも悪くもオリジナル度が高そうです。原作に出てくる夫婦はかなりリッチだけれど、それから四半世紀、世間はすっかり不景気だしね。
制作はTBS傘下のドリマックス・テレビジョン。03年に前身の木下恵介プロから社名を変えて以降、題名を思い出すだけで自分が恥ずかしくなる「刑事☆イチロー」(TBS系/03年)から「砂の塔~知りすぎた隣人」(同前/16年)、今年1月期の「きみが心に棲みついた」(同前)まで、放送開始前からそれとわかる失敗作を量産してきた経歴あり。
ただ、ここのところ「バイプレイヤーズ」シリーズ(テレ東系/17~18年)とか「あなたのことはそれほど」(TBS系/17年)、「アンナチュラル」(TBS系/18年)なんていう話題作も送り出すようになってきていて、さて、「帰る家」はどっちに転ぶか。その予想は、とりあえず初回を見るまで保留しておきます、と言ったら、ドリマックスやTBSに優しすぎますか。
遅ればせのリクエストをひとつさせてもらえば、今回も再び斉藤由貴・主演で撮り直してほしかった。それはもうリアルで凄みがあって、しかもユースケが頭にパンツまでかぶる傑作不倫コメディーになったかも。
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