あの養老乃瀧が「映像居酒屋 ロボ基地」に挑戦する理由 業界“先細り”の現実
実験に挑む会社は倒産しない
――店員さんは、アニメ好きな方々を集めておられるんですか?
担当者 アニメ好きは条件に入っていません。「嫌いじゃないならOK」というスタンスですね。仮に好きだとしても、90年代に生まれている店員も少なくありません。70年代とか80年代のアニメは知らないわけです。そうすると店員たちは、お客さんに教えてもらいます。お客さんも自分が好きなアニメを教えるという機会はそれほどないので、非常に喜んで教えてくださいます。奥さまに話そうとされても、あまり聞いてもらえなかったとか、色んなことがあるんですね。
――そうして獲得された貴重なノウハウは今後、どのように活かされるのですか?
担当者 おそらく「ロボ基地」を全国に100店舗出すというのは難しく、そこまでのマーケットはないでしょう。ただ、一等地を必要としない店舗だという手応えは感じています。池袋はアニメの聖地として有名だということもあって、この「ロボ基地」に足を運んでくださっている。でも、店が魅力を最大限に発揮すれば、路地裏でもファンが来店してくださるかもしれない。そんなことを考えています。
また今、日本では多くの業界が人手不足に直面しています。特に飲食業界は深刻で、弊社も例外ではありません。ところが興味深いことに、この「ロボ基地」は「働きたい」と応募してくれる方々が多く、スタッフに恵まれているんです。人手不足を解消するヒントが見つかるかもしれないわけです。
そうしたことも含めて弊社にとって、この「ロボ基地」は相当に貴重な場所だと思います。我々が作り上げてきたノウハウに加え、バンプレストさんとレッグスさんのビジネススタイルを目の当たりで勉強させてもらえるわけです。強い刺激を受けていますね。
担当者へのインタビューは以上で全てだが、フードサービス・ジャーナリストで「フードフォーラム」代表を務める千葉哲幸氏は「実験にチャレンジする意欲がある会社は倒産しません」と指摘する。
「ロイヤルホールディングスは昨年11月、東京の馬喰町にキャッシュレスの店舗をオープンしました。普通は飲食業界の人手不足は深刻ですから、生産性向上のためのキャッシュレス化と受け止めてしまうんですが、実は違う。最終的には従業員をレジ業務から解放し、接客のホスピタリティを向上させるところまで狙っている。これでこそ本当の実験という気がします」
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