武術家が指南する長生き健康法――「打撃武術」で健康+護身の一挙両得

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「ワニ歩き」と「ひねり首」

 まず「ワニ歩き」から紹介します。その名のとおりワニのようなポーズをとるもので、(1)肩幅に足を開いて立ちます。脇は開けて、両手を耳の真横に上げます。(2)そして膝を直角に曲げ、身体の真横に引き上げます。肘と膝を当てるくらいの気持ちで右、左、右と繰り返します。このとき耳の横に上げた手が離れないように気をつけ、脇をしっかり伸ばすように意識してください。

 たとえば、左の脇腹を伸ばすと右肩が下がり、右足が勝手に上がる。そんなイメージでやってみてください。ですから足を高く上げる必要はなく、全身から余計な力をできるだけ抜くことが大事です。

 次に紹介するのは「ひねり首」です。(1)まず肩幅に足を広げて立ち、頭を少し突き出したら、左右どちらかに少し傾けます。(2)そうして落ちてきた頭を支えるために、片腕を突き出して、頭を肩で受け止めます。

 格闘技などで顔面にパンチをまともに食らうと、その衝撃で脳が揺れ、脳震盪が起こります。しかし、このポーズをとると、あごが肩とくっついているため、パンチを食らわせる隙間がないのです。しかも、パンチを食らいそうになったときは、食らう前に突き出している腕で相手の肩を押すことができます。

 ワニ歩きとひねり首の2つで、防御も攻撃もできます。たとえば、ひねり首でパンチをかわしたあと、ワニ歩きで膝蹴りを食らわせることもでき、ワニ歩きで相手の蹴りを防御しながら、すかさず攻撃する方法もあります。

 写真のキックは、その両方を使った応用編で、たとえばワニ歩きの膝を伸ばせばキックになる。基本の動き2つを応用すれば、攻撃も防御もでき、小柄な女性が大柄な男性を倒すことも可能です。

 楽しみながら護身術が身につき、そのエッセンスを実践するだけでも、健康を手にできるのです。

野沢靖尚(のざわ・やすひさ)
1963年、栃木県出身。ブルース・リーに衝撃を受けて、空手と合気道を始め、高校時代は空手道部で関東大会、全国大会出場。2017年、ムエタイ興行で試合に復帰。BUDO-STATION設立に当たり「マーシャルボディ」を創始。体脂肪率7%。

週刊新潮 2018年3月15日号掲載

特集「『武術家』3人が指南! 万病を遠ざける『究極の長生き健康法』」より

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