「太平洋セメント」新社長に不死原正文氏 “親分肌”を買われ

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売上げを2倍に

 福田社長は不死原氏の起用理由を、“親分肌の技量がグループを束ねていけると判断した”と語っていた。

「兵庫県出身の不死原さんは、関西人らしく明るい性格です」

 こう評するのは、中堅ゼネコンの幹部だ。

「不死原さんは、大阪大学経済学部を卒業後に旧小野田セメントに入社しました。現在は中枢のセメント事業本部長を務めていますが、資源や環境事業畑が長かった。07年に環境部門の事業推進部長に就任し、売上げを2倍に伸ばした“伝説”を残しています」

 不死原氏は約20年も地方勤務を経験した“異色の経歴”を持つ。その間に取引先のゼネコンのみならず、官公庁や電力、製紙業界など異業種にも幅広い人脈を培ったという。社内にもシンパは多い。

「不死原さんは、部下が大きなプロジェクトに直面した時に“責任は俺が取るから、仕事に集中しろ”と叱咤激励しているそうです。また、役員になった後も、ヒラ社員を飲みに誘うような気さくな人なので、社内には彼を信奉する社員が少なくありません」(先の記者)

 不死原氏は、その珍しい姓で若手時代はすぐに取引先に覚えられて得をしたようだ。NHK「日本人のおなまえっ!」に出演中の姓氏研究家・森岡浩氏にその由来を聞くと、

「主に関西に見られる極めて珍しい姓の1つで、全国で数十世帯ほどしかありません。戦国時代に殿様の窮地を命がけで救い、瀕死の重傷を負った家臣がこの姓を賜ったようです」

 不死原氏の座右の銘は、戦国時代の名将・武田信玄の“人は城、人は石垣、人は堀”。人心掌握術を忘れなければ、社長就任後も部下からの協力は得られる?

週刊新潮 2018年3月15日号掲載

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