「みなおか」「めちゃイケ」終了で19億円の経費削減!? フジが弾く算盤勘定

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制作費は通常の倍

 フジテレビの看板番組である「とんねるずのみなさんのおかげでした」と「めちゃ×2イケてるッ!」が3月で放送を終了する。一部報道によると、それぞれの最終回は「みなおか」が3月22日(木)、「めちゃイケ」は3月31日(土)だという。

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 様々な受け止めがあるだろう。両番組の歴史に改めて感謝したり、関係者の奮闘に敬意を表したり――。しかしながら、この終焉を同業者がどう受け止めているのか取材すると、さる制作関係者は「フジテレビは最後まで冷静に算盤を弾き続けましたね」という意外な感想が返ってきた。

「ゴールデンタイムの番組の制作費は現在、次のような感じです。19時台が1500~1800万円。20時台が2000万円。21時台が2000~2500万円。一方『みなおか』や『めちゃイケ』は何と4000万円台ぐらいと言われています」

 傍証も存在する。「とんねるずのみなさんのおかげです」の最終回は97年に放送されたが、その中で「ダーイシ」こと石田弘氏が「9年間の予算は186億8900万円」、「88年からスタートして8年半の平均視聴率は20.2%」と発表している。

「186億円を週ベースに概算すると、約3980万円という金額になります。往時と全く変わっていないことが分かります。視聴率20%の番組なら潤沢な予算も当たり前ですが、17年12月7日の『みなおか』は平均視聴率5.9%(編集部註:ビデオリサーチ調べ、関東地区)でした。ちなみに『めちゃイケ』も17年11月25日は6.1%です」(同・制作関係者)

うな重は腰が抜けるほど美味

 儲かって仕方のない時は、放っておいたら税金で取られるだけだ。ならば浪費してしまえ、という判断も一理ある。だが、利益を上げていないのなら、バランスシートの改善に着手するより仕方がない。しかし、現場サイドがコストカットを検討した節は感じられないという。

「『みなおか』の会議に出席して驚愕したのは、食事の豪華さです。弁当が今どき、うな重だったんです。しかもその美味いこと、腰が抜けました。どこの店か訊く機会がなかったのですが、さぞかし名のある老舗の特注弁当だったんでしょう。後でベテランスタッフの方々に教えてもらったんですが、やはり石橋貴明さん(56)が食事にこだわるそうです。TBSでレギュラー番組『イシバシ・レシピ』を持っていた石橋さんですから当然だとは思います。料理の腕前は桁違いだそうですからね。とはいえ『視聴率が1ケタ台でこれはちょっと』と絶句したのも事実です」

 同じような金満体質は、「めちゃイケ」にも存在するという。関係者が続ける。

「『めちゃイケ』の収録は基本的に水曜と木曜の2日間です。しかし全盛期は岡村隆史さん(47)や矢部浩之さん(46)を筆頭に、『めちゃイケメンバー』は売れっ子ばかりです。スケジュールが合わない日も珍しくなく、そういう時は収録中止です。ところが『めちゃイケ』は収録中止でもギャラを全額払っていたそうなんです。私は、こんな大盤振る舞いの番組を他に知りません。視聴率が好調で、儲かって仕方のない時期なら美談でしょう。『何年も水、木を拘束している。それに報いる必要がある』という考えです。ですが視聴率が1ケタ台の番組には不必要の気遣いです」

 好調時の金満経営を改めることができず、業績低迷とともに乱脈経営に堕していくというパターンは、古今東西のどんな業者でも実例が存在する。とはいえコストカットより番組終了を選んだフジテレビの判断は、どこから生まれたのだろうか。

浮いた予算は低予算番組の制作拡充へ

「予算が高額化したのは、とんねるずやナインティナインのギャラ高騰が原因ではあります。特にとんねるずのギャラは芸能界で1位、1本600~800万円だと言われています。プロデューサーが頭を下げて、半分以下の200万円にしてもらうことも夢物語ではないと思います。でもフジテレビにとって、老舗番組をさらに延長するメリットは存在しないのです」(同・関係者)

 後発番組の視聴率が悪ければ、芸能マスコミを中心に大騒ぎになるだろう。『笑っていいとも』の終了直後が、そんな感じだった。しかしながら、フジテレビはそれも織り込み済みなのだそうだ。

「4000万円の番組を2000万円にすれば、年間で9億6000万円が手元に残ります。『みなおか』と『めちゃイケ』の2本ですから、倍にすると19億2000万円です。どこのテレビ局でも挑戦していますが、19億あれば深夜などで実験番組を何本も作ることができます。人気作になれば、ゴールデンに回します。通常の予算で手堅く視聴率を取ってくれたほうが、『みなおか』や『めちゃイケ』を存続させるより遥かに儲かるのです。金食い虫のロートルは退場いただき、格安料金でいくらでも働く若手を抜擢するというわけです。実際、意欲のある若手ディレクターなどは、両番組の終了に内心で万歳三唱していると思いますよ」(同・関係者)

 40代以上の会社員には切ない話かもしれない。石橋貴明だけは、フジテレビで新しいレギュラー番組が始まるとの報道もあるが、やはり彼らはリストラされたのだ。とはいえ「栄枯盛衰、盛者必衰」の言葉もある。この冷徹さがエンタティメント業界のリアリズムなのだろう。

週刊新潮WEB取材班

2018年3月17日掲載

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