本誌広告を黒塗りする「新聞」各社の思考停止 「昭和天皇」ピンク映画記事で

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過剰な自主規制

 上智大学文学部新聞学科の田島泰彦教授は、

「黒塗りにした社について言えば、表現の自由に対して、扱いが乱暴に過ぎるかなという気がします。写真まで隠す過剰な自主規制、過剰な忖度が働いたというのは、メディアの在り方自体を案じてしまいます」

 とした上で、こう語る。

「イデオロギーの面では両極端の産経新聞と東京新聞がそのまま掲載しているように、黒塗りにする積極的な理由が一切見当りません。読者の注目が最も集まる広告の右側の部分の文字も写真も黒塗りにされたのでは、広告の役割を果たせない。そのような損害を発生させてまで隠すほどの表現だったとは思えませんね」

 全国紙の判断を見て黒塗りにした地方紙が複数あったことについては、

「元来、地方紙は独立独歩で独自のジャーナリズム精神を出していく個性が特徴だったわけですが、今は周囲の目を気にするおりこうさんになってしまったわけですね。天皇に関する問題という、誤った道を選ぶと悪目立ちするかもしれない案件だと、“周りと合わせないと”と考えてしまうのでしょう。この地方紙の臆病さにも、危うさを感じます」(同)

 新聞が揃って思考停止に陥った時、何が起こるか。それは歴史が証明している。

週刊新潮 2018年3月15日号掲載

特集「公開延期の『昭和天皇』曰く付き映画に異聞! 本誌広告を黒く塗り潰した大新聞の『表現の不自由』」より

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