本誌広告を黒塗りする「新聞」各社の思考停止 「昭和天皇」ピンク映画記事で
本誌広告を塗り潰した大新聞の「表現の不自由」(下)
「週刊新潮」3月1日発売号は、上野オークラ劇場で上映予定だったピンク映画「ハレンチ君主 いんびな休日」が公開延期になった経緯、その作品の内容を紹介する記事を掲載した(※映画は後に公開中止に)。これに“皇室の尊厳を損なう表現ではないか”という旨の指摘がなされ、朝日、読売、毎日、日経の全国紙のほか、複数の地方紙で広告が黒塗りにされてしまったのである。無論、記事・広告表現は妥当なもの。他社の広告に平気で介入する大新聞の「表現の不自由」、その審査はどうなっているのか。
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「どの社にも広告掲載規定や広告掲載基準というのがあって、広告局の責任者が、代理店から持ち込まれた各社の広告ゲラをその基準に則って確認していきます」
そう語るのは、毎日新聞元常務で『新聞社――破綻したビジネスモデル』(新潮新書)の著者でもある河内孝氏である。
「木曜日の朝刊に載せる広告なら、前日の水曜日にその作業を行います。公序良俗に反するものや犯罪を助長するもの、人権侵害、名誉毀損にあたるものなのかどうかを議論・検討していくわけです。そして、広告局内で問題視されたものは、広告局長と編集局次長が話し合うことになる。今回の件も、両者の話し合いで黒塗りにすることが決まったのだと思います」
一応、社内で“議論”する決まりになっているようなのだが、
「果たして、どれだけ議論したのか。記事の内容を十分に吟味し、本当に失礼にあたる表現なのか、あるいは読者が不快感を示すような表現なのか、そういったことを本気で検討して黒塗りにしたとはとても思えない。“昭和天皇”の下に“ピンク映画”と続くから、杓子定規に、載せるのは止めておこう、となったのではないでしょうか」
と疑問を呈するのは、ジャーナリストの大谷昭宏氏。
「今上天皇の時代になり、皇室は国民にとって非常に身近な存在になりました。しかし、新聞社のこうした姿勢は、むしろ国民から皇室を遠ざけることになってしまいかねません。慇懃無礼に、ただただへりくだる。うっかりしたことは言わないでおこう、というスタンスは、尊敬や敬意とは全く違うものです」
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