蛭子能収の受難 コスパ抜群「旅・情報番組」をヒットに導く“名旅人”を探せ!
平昌五輪vs.蛭子能収
蛭子能収(70)さまさま――。さぞかしテレビ朝日は感謝しただろう。平昌(ピョンチャン)五輪真っ只中の2月12日午後7時から「秘境路線バスに乗って飲食店を見っけ隊」が放送されたのだが、これが思わぬ反響を呼んだようなのだ。
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この番組、元は日曜の午後4時半から「帰れまサンデー・見っけ隊」内の企画として放映されているものだ。スタジオMCはタカアンドトシのタカ(41)とトシ(41)。だが4月から月曜午後7時のゴールデンタイムに“昇格”することが決まっている。
12日は月曜のため、このSPは事前テストの意味合いもあったのだろう。しかし最優先は五輪対策だったと思われる。何しろこの日は、スキージャンプ女子ノーマルヒルが行われる予定になっていたのだ。
NHKは午後9時半から生中継を開始したが、午後7時のニュースから「悲願のメダルへ」と高梨沙羅(21)を猛烈アピール。30分後の7時半からはフィギュアスケート団体・決勝(録画)を流し、視聴者にチャンネルを替えさせない作戦に出た。
鉄壁の布陣にテレ朝は挑む。この番組でロケ担当は、
【1】アンタッチャブルの山崎弘也(42)
【2】サンドウィッチマンの伊達みきお(43)と富澤たけし(43)
【3】よゐこの濱口優(46)と有野晋哉(46)
という面々。基本的にロケ担当は週替わりに出演しているのだが、この日はサンドウィッチマンの出番だった。
目玉はゲスト。サンドウィッチマンの2人に蛭子能収と夏菜(28)が加わったのだ。蛭子は太川陽介(59)と「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」(テレビ東京)に2007年から17年まで出演。大変な話題作となったのは記憶に新しい。
風景より、情報より、出演者に焦点
一部のネットメディアは「テレ東のパクリ」と揶揄したが、やはり起用策は成功した。裏番組として「世界まる見え!テレビ特捜部 世界はまさかの連続! 大どんでん返し2時間SP」(日本テレビ)とも競合するという四面楚歌の中、「秘境路線バス――」の視聴率は10.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったのだ。民放他局のプロデューサーが感嘆の声を上げる。
「テレ朝は1ケタ台も想定していたはずです。それで2ケタは大金星ですよ。もちろん立役者は蛭子さんで間違いありません。業界内でも反響は大きく、放送後にテレ東の関係者が蛭子さんに『他局の類似番組には出ないでください』と苦情を伝えたと聞いています。番組を辞めたんですから蛭子さんの自由なんですけど、シーズン2の『ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z』は俳優の田中要次さん(54)と芥川賞作家の羽田圭介さん(32)のコンビで視聴率は9%台。数字は右肩上がりですから現場の士気は悪くないでしょうが、蛭子さんと太川陽介さんはコンスタントに13%台を出す時期もありました。テレ東は蛭子さんに何か言わずにはいられなかったんでしょう」
多くの人が実感しているはずだが、テレビのリモコンで電源をオンにすれば、旅・散歩番組に出くわす確率は相当に高い。実際、このプロデューサー氏は「バラエティを担当するテレビ関係者は、旅番組、街を紹介する番組、そして散歩番組の3種類の企画しか考えていないと言っていいです」と明かす。
「昔から美しい風景を紹介するのはテレビの定番です。例えばテレ東さんの『いい旅・夢気分』は80年代から続く長寿番組でした。人気の秘密は魅力的な景勝地の紹介だけで終わらず、情報性を高めたことでした。周辺の温泉やグルメ、宿泊施設の紹介にも力を入れたわけです。同じフォーマットの情報番組は今も多いですが、近年はバラエティとして旅・散歩番組を制作しているのが特徴です。成功の可能性を高めるセオリーは、60代以上の視聴者を狙い、出演者に焦点を当てたドキュメンタリーのスタイルにするんです。それをバラエティのノリで作ると人気番組に化けることがあります。もし成功すれば、製作費の削減が厳しい中、低予算で手堅い視聴率が期待できる番組として重宝されます。だから私たちは、こぞって企画書を書いているわけです」
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