63億円を騙し取られた積水ハウス 増加する不動産詐欺、「地面師」たちの手口とは

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「ニセ地主」をリクルート

 東京オリンピックを約2年半後に控え、首都圏では不動産価格が上昇している。実際、昨年販売されたマンションの平均価格はバブル期を超えて過去最高だった。

 そのせいなのか、最近になって不動産を舞台にした詐欺事件が増えているという。なかでも地面師による詐欺は、分かっているだけでも3年間で20件近くが東京で起きている。うまくいけば、うなるような大金が転がり込んでくるから魅力的な「仕事」なのだろう。

「地面師詐欺そのものは新しい犯罪ではありません。昔は法務局の台帳から謄本を抜き取って偽造するといった古典的な手法だったのですが、最近はさらに巧妙になってきた。今回の積水ハウスの事件もそうですが、杉並区浜田山や渋谷区富ヶ谷のケースなど、プロの不動産業者がすっかり騙されてしまう」(捜査関係者)

 彼らの手口とは、どんなものなのだろうか。

 地面師と一口に言っても単独犯はほとんどない。仕事が分業化されているからだ。不動産の世界には、100人ほどの地面師がいるとされており、彼らは離合集散を繰り返しながら、4、5人のチームを組む。

「まず、騙しの舞台となる不動産を見つけてくることから始まります。所有者が高齢で、現場から離れたところに住んでいたり、抵当権なども付いていないのがいい。もちろん、家族関係も調べ上げます。また、雑草が伸び放題のような管理されていない土地が狙われやすい。詐欺に適している物件はリスト化され、地面師の間で出回っているとも言われています」(同)

 舞台が決まると、次に「なりすまし」のニセ地主が必要になる。

「ニセ地主は、詐欺グループの中では下っ端です。実際には金に困っている老人を使うことが多い。地面師の中には、地方の温泉宿などで働いている元芸者などにネットワークを持ち、数百万円の報酬でリクルートするのを得意とする者がいます」(同)

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