「大杉漣さん」の急逝から学ぶ「突然死」を防ぐ手立て 予兆がなくてもCT検査
心筋梗塞を防ぐには
さて、少々前後するが、ふたたび心筋梗塞である。防ぐ手立てとしては、
「血管内に塊、すなわちプラークができないようにすること。それには食生活に気をつけないといけません。高血圧にならないために減塩し、糖尿病を防ぐためにカロリー制限する。高コレステロールにならないために、脂っこいものは避ける。年に一度くらいは人間ドックで、自分がメタボではないか、理想体重やBMIはどれくらいかなどを把握し、そのうえで1日1万歩歩くなど、習慣にするとよいでしょう」
そう語るのは、長野市民病院の池田宇一院長だ。一方、短期的には、なにに気をつけるべきか。
「急な温度変化には要注意。特に冬場に多いのが風呂上りの心筋梗塞。温度の低い脱衣所に移動すると血圧が上昇するからです。脱水にも気をつけたい。血液が濃くなって血の塊ができ、血管が詰まりやすくなります。たとえばお酒を飲むと脱水気味になるため、飲んで寝て明け方に心筋梗塞、というケースもある。飲んだら水分補給して寝るのがお勧めで、最悪なのは冬場にお酒を飲んでお風呂に入ること。脱水気味のところに汗をかき、寒暖差で血圧も上がるから、心筋梗塞のリスクはかなり高まります」
と榎木氏。だが、対策するにしても“敵”の現状を知るにしくはない。
「定期健診などで測る、血圧や血糖値が参考になる」
と、榎木氏は続ける。
「血圧は上が135以上、下が85以上なら要注意。血糖値は空腹時血糖が110mg/dl以上だと高血糖です。これに加え、胸に違和感があるなどすれば、カテーテル検査で血管の様子を調べられ、狭くなっていたらドリルで削ったり、金属のトンネルを通して血管を広げたりできる。大杉さんもこうした検査で、リスクを減らせたかもしれません」
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