仏大統領、中国人の“農地爆買い”に怒り

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「目的が何であるかも分からないのに、何百ヘクタールもの農地を外国人に買収させるわけにはいかない」

 仏のマクロン大統領は、2月22日、エリゼ宮へ招いた若手農家約1000人を前にそう言明した。

「国際農業見本市の開催に合わせて行った講演での発言ですね。仏は世界有数の農業大国ですから、パリではこの時期、幕張メッセを全部使うくらいの大規模展示会が毎年あるんですよ」

 と言うのは、在仏ジャーナリストの広岡裕児氏。

 冒頭の発言は、大統領が農政全般を語った中の一部だが、“外国人”が中国人を指すのは明らか。というのも、すでに一昨年から中国資本による農地買収が問題視されていたのだ。

「中部の農村地帯アンドル県で、なんと1700ヘクタールもの広大な農地を買収。さらに昨年も中部のアリエ県で900ヘクタールの買収がありました。仏人はドライなので、都市部の不動産やワイナリーなどの爆買いは許されてきましたが、農村の存続にもかかわる農地はさすがに別。マクロンもそこを気遣ったわけですが、そもそも収益性の低い農地を割高に買収した意図が明らかにされず不気味なのです」(同)

 買収した中国企業は、ガソリンスタンドの設備機器の販売が本業だと言うからなおさら得体が知れない。

 もっとも、農地爆買いは豪州やカナダ、そしてアフリカでも起こっている。

「とくに豪では、いま盛んに農地買収規制が議論されています。中国の資産家は、本土でいつ何が起きるか分からないため、とにかく資産を国外に持ちたがる。そして土地信仰も非常に強いので、農地にまで手を出すのです」(外信部デスク)

 だがこの動き、本当に覇権主義国家の意志とは無縁なのか。マクロン氏に期待大だ。

週刊新潮 2018年3月8日号掲載

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