“EXILE一族”・中尾翔太「胃がん」公表で「20代のがんリスク」について考える

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「限りなくゼロに近い」20代のがん罹患率

 20代どころか30代ですら、がんの罹患率は最高でも1.9%。ゼロの数字も極めて目立つのは一目瞭然だ。

 秋津医師は「20代のがん罹患率は、『高層ビルの建設現場から鉄骨が落下してケガをする確率』よりも低いと考えてもいいぐらいだと思います」と指摘する。

「例えば小児がんですが、これは先天性や遺伝性の要因が多く、生まれた時から体内に、がん細胞に近いものが存在します。昔のテレビドラマでは夭折の設定に白血病を使うことがありましたが、現在でも白血病は小児がんの最も多い症例です。そして小児がんは10歳までに発症することが多い。つまり10歳から39歳までは、人生の中で最もがんリスクが低下する時期と考えて間違いではないのです。健康な人が非常に多い年齢層で、昔から結婚や出産を経験する人が少なくないのも、医学的には極めて理にかなっています」

 健康に気を使う20代なら、がん検診が頭をよぎったかも知れない。だが、秋津医師は「注意しなければ、20代のがん検診は逆に健康リスクを高める可能性があります」と注意を呼びかける。

胃がんの罹患率と死亡率

「今回のような報道があると、20代の来院者は増えるものなんですね。ただ、胃の激しい痛みで食事が困難だったり、大便が真っ黒という顕著な症例でも、大半はストレス性胃炎か十二指腸潰瘍です。実際に今の10代は受験のストレスなどで胃を悪くしている人が増えていますが、がんは違います。20代が『胃がんかもしれません』と病院に駆け込んでも、大抵は胃薬を処方されて経過観察でしょう。胃カメラは20歳から30歳までの10年間で1回経験すれば充分だと考えます。さらに、バリウムを飲んでのレントゲン検査は、放射能を浴びます。定期健診で、毎年レントゲン検査を受診してしまうと、20代の若い身体では被ばくのデメリットのほうが、がん発見のメリットを上回る危険性が懸念されます」(同・秋津医師)

 胃がんそのもののリスクも見ておこう。国立がん研究センターの「がん情報サービス」によると、「罹患者数の多いがん」と「死亡者数の多いがん」は(表2)のようになる。

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