駆出しの「タモリ」とイベント共演、会場から逃走 「せんだみつお」が語る昭和のスター列伝
「いいとも!」で形勢逆転
――そんな、ある意味、牧歌的な珍騒動がありつつ、やがて形勢は逆転していくわけですが、それを分けたのはどのあたりだったんでしょうか?
せんだ:やっぱり「笑っていいとも!」の司会だよね。この司会、はじめはビートたけしさんに打診があって、それを断ったからタモリさんになったって言われてるけど、結果的にタモリさんで正解だったよね。タモリさんがそれまでの毒を封印して淡々と冷静にこなす中、周りが騒いで盛り上げていくっていうふうに持っていったからこそ、あれだけ長く続けられたんだと思うからさ。
――そんな「笑っていいとも!」のレギュラーを担当していた時期もあるせんださんですが、抜擢されたときのきっかけは何だったんですか?
せんだ:あれは確か――「ぎんざNOW!」のときからの知り合いのタレントの結婚式に呼ばれたとき、僕、椅子の上に立ち上がって「ナハ!ナハ!」ってやったのよ。それをたまたま「いいとも!」の曜日のプロデューサーが見ていたらしくて僕を使ってくれたんだ。運命はどう転がっていくかわからない。だからこそ、そうやってどんどん自分からアクションを起こさないとね! 昔、女優のジュディ・ガーランドが言ってたんだよ。自分の人気が下降線になったとき、どんな形でもいいから「私はここにいる!」って波間から手を出していないと誰も引っ張ってくれない、って。僕はそれに非常に感銘を受けてねぇ。
――それが結婚式で椅子の上に立ち上がって「ナハ!ナハ!」だったと……。
せんだ:今はたとえば、自撮り写真の顔の上に動物の鼻やヒゲを描いたりするアレとかを一生懸命やってアピールしたりしてる。
――古稀にしてSNOWですか……。いえ、素晴らしいことだと思います!
(取材・文=塚田泉)
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