大雪で大停電寸前だった首都圏 使えない「太陽光」に血税を流した戦犯は
機能しなかった太陽光
1月28日付の朝日新聞朝刊に、〈基幹送電線、利用率2割 京都大特任教授、大手10社分析〉という記事が掲載された。そこには、
〈「空き容量ゼロ」として新たな再生エネ設備の接続を大手電力が認めない送電線が続出しているが、運用によっては導入の余地が大きいことが浮かび上がった〉
と書かれていたが、奈良林氏によれば、
「素人の指摘と言わざるをえません。再生可能エネルギーの送電線は、太陽光発電が100%機能した場合に対応できるようになっています。しかし、太陽光では1日の4分の1ほどの時間しか発電できず、また晴れの日は約半分です。だから送電線の利用率が低いのは当然のことです」
要は、利用率の平均値が低いからといって、再生可能エネルギーの設備を次から次へとつなげば、送電線はパンクしてしまうということだ。そこからもう一つ見えるのは、そもそも太陽光発電が、極めて不安定だという事実である。
ふたたび柏木氏が言う。
「今回は太陽光パネルに積もった雪が予想外に溶けなかったわけですが、こうした不測の事態は今後も起きえます。天候次第で発電量が大きく変化する太陽光発電は、堅実な電力システムの基礎であるベースロード電源になりません。発電量は多すぎても電圧が上昇してしまい、常に需給のバランスがとれている必要があります。供給量が乱高下する太陽光発電では周波数が安定化せず、体にたとえれば、あたかも不整脈が発生するようなものです」
雪が積もらなくても、雨が続けば発電できない。ところが、日本では2012年に導入された固定価格買取制度で、太陽光発電による電力を固定価格で買い取ることが、電力会社に義務づけられているのだ。
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