田中邦衛は“洗練されてない不器用さ”を演じていた? 「せんだみつお」が語る昭和のスター列伝
せんだみつおが見上げた昭和のスター列伝――田中邦衛
「おっめえはよぅ、だからダメなんだよぉ!」
よく言われたという、そんな言葉の数々をせんだみつお(70)がマネるとき、その声色から口調、息の吸い方吐き方、口の曲げ方に体の動きまでが、“そのもの”なのである。生でご覧いただけないことが残念なほど――“千に三つしか(せんみつ)本当のことを言わない”芸人・せんだが今回ご紹介するスターは、田中邦衛(85)である。スクリーンで、撮影現場で、楽屋で、さらにはご自宅で、環七(!)で、見て聞いて感じた田中邦衛。文中のせんだによる邦衛さんの再現部分は、あの独特の口調を思い出しながらお楽しみください!
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せんだ:邦さんといえば、やっぱりまずはあの口調。過去にはむにゃむにゃした独特の喋りの方もいたけど、台詞回しとか口元の芝居で一時代を築いた人ってことでいえば、邦さんが初めてでしょう。でもあの方、新劇(俳優座)出身なんだよね。あのしっかりしてない滑舌で、舞台、大丈夫だったのかな? だってさ、「ばっかやろぅあったまくるよなほんとによぉ〜」みたいな感じだよ。
これ、邦さんに聞いた話ね。あの方、映画で園マリさんと共演したことがあるんだけど、明日は雨だって誰かが言うからロケは中止だなと思って、その夜、ニンニクをバンバン食べたんだって。そしたら次の朝、奥さんが「あなた、ピーカン(快晴のこと。元々映画界の用語に由来するといわれる)よ」って。
邦さん、そうとう慌てたらしくて、「その日のロケ、園マリと公園でキスするってシーンなのによぉ、オレの口、すっげぇニンニク臭ぇんだ。で、口にシュッシュッってやるやつあるだろ。あれやろうとしたらオレ勘違いして目にやっちゃってよぉ、片目腫れてたいへんだったんだよなぁ……」だって!
――(笑)でも、いくら焦っていても目にシュッシュしますか!?
せんだ:僕もそう言ったのよ。そしたら急に「おまえ、このオレが嘘言うと思ってんのかよぉ!」ってキレちゃってさぁ……。
――それ、まんま「北の国から」(81~02、フジ系)の五郎さんじゃないですか。「子供がまだ、食ってる途中でしょうが!」って突然、怒り出すみたいな。
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