「将棋」と「囲碁」子どもにやらせるならどっち? 高齢者のボケ防止にも効果アリ
うつや不安の改善も
今回の研究では、将棋を嗜む65歳以上の住民を67人集め、昨年9月下旬からの6週間、週に1回、2つのグループに分けて将棋を指して貰ったという。
「医学的にもっとも信頼できる検証法の『ランダム化比較試験』と呼ばれる方法を用いました。これはプログラムを介入したグループと介入しないグループを無作為に分け、介入したグループのみ効果があったことを、両グループを比較しながら証明する研究法です」
このプログラムでは、将棋をする上での5つのコツを中心に、プロ棋士や臨床心理士のアドバイスを受けられる。具体的には、同じ趣味を持つ仲間を作るコツ、対局に負けても腐らず気持ちを切り替えるコツ、焦って次の手が浮かばない時の対処のコツ、さらに強い相手を求め自己研鑽をするコツ、嫌なことが頭から離れず集中できない時の対処のコツと、以上のまとめから成るセッションを毎週行った。
専門家から、対局で生じるストレスを半減させれば、集中力や判断力が高まり将棋が強くなるなどのアドバイスを聞かされた参加者たちへは、初回と最終回にアンケートを実施。日常生活の中でも、自分に対する信頼感や前向き志向に変化があったかを検証したのだ。
「プログラムを実施したグループは、実施しなかったグループと比べて必要な活動を抑えてしまう傾向がなくなり、気晴らし活動が増加し自己を強化する傾向が高まる。問題解決をする能力が向上することが分かりました。また、うつや不安の程度が改善することも分かったのです」(同)
今回の結果は、昨年12月に行われた日本行動医学会学術総会でも発表されたが、中尾教授は今後さらに大規模な調査を実施して、将来的には将棋が高齢者の認知症予防につながることを証明したいと意気込む。
将棋も囲碁も、その医学的効果はまだ研究が始まったばかりと聞けばますます悩ましいが、あなたにとって最善の一手は、さぁどっち?
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